手宮線が結ぶ産炭地と小樽 市立美術館で講演会


 市立小樽美術館(色内1)で開催中の特別展「甦る炭鉱の記憶」の関連事業として、講演会「産炭地と手宮線」が、8月26日(土)14:00から同館研修室で行われ、市民ら約50人が参加した。
 小樽市立総合博物館で鉄道部門を担当し、旧手宮線について長年にわたり調査研究を進めてきた佐藤卓司学芸員が講師を務めた。
0826museumart.jpg もともと石炭を運ぶために作られた旧手宮線(旧幌内鉄道)を中心に、炭鉱と鉄道にまつわる興味深い話を写真やグラフを交えながら約1時間にわたり講演した。
 エピソードの中には、かつて手宮駅から網走駅まで直通列車が運行されており、網走刑務所へ受刑者を護送する囚人列車が走っていたことを国鉄職員OBから聞いた話や、大正期の手宮線に幌内鉄道時代の蒸気機関車「義経」「弁慶」が牽引するハイカラ列車が運行され、現在の観光列車のような人気があった話。1985(昭和60)年の手宮線廃止の記念に作られた記念スタンプに描かれた初代手宮駅が、実は札幌駅だったといった話なども織り込まれ、参加者は感心しながらメモなどを取っていた。
 佐藤氏は、「産炭地と小樽。かつては手宮線を通じて結びついていた。特別展のテーマとなっている炭鉱の記憶と鉄道の記憶とは、共有の記憶だと思う」と締めくくった。
 特別展は、9月17日(日)まで開催しており、ユネスコ記憶遺産に登録された山本作兵衛氏の炭坑記録画など、炭鉱にまつわる美術作品や佐藤氏の講演で紹介された手宮線に関する資料などが展示されている。
 9月2日(土)14:00から特別展会場において、札幌交響楽団コンサートマスターでヴァイオリニストの大平まゆみ氏によるミュージアムコンサートが開催される。(要入館料)