"市民の足"で揺らぐ市長 建設常任委員会


 小樽市内の公共交通のあり方のマスタープランとなる地域公共交通網形成計画(以下、網計画)を策定するための法定協議会設立が進まない中で、市に進捗状況などを確認するため、小樽市議会(鈴木喜明議長)の建設常任委員会(千葉美幸委員長)が、8月25日(金)13:00から市役所(花園2)第3委員会室で開かれた。
 市は、これまで、北海道中央バス株式会社から、市内バス路線の維持方策等を協議するための法定協議会設立を要望されていたにも関わらず設立していない理由について、「公共交通施策のノウハウ不足や担当部局の不在などの理由で公共交通全体の計画には取り組めなかった」と認識を示した。
0825council.jpg その上で、網計画の策定は、市が主導で担っていくことが必要との考えのもとで、現在、銭函地域をモデルに2千人を対象としたアンケート調査を行い、地域の実情や課題を把握するためのノウハウ作りを先行していると説明。回収率は約38%だが、アンケート調査結果の分析等が終了した後、網計画策定のため平成30(2018)年度の国の交付金申請に間に合うように年度内の早いうちに法定協議会を設置するとした。
 各会派委員からは、「銭函のアンケート調査が、市全体の公共交通の実情を把握するためのノウハウ作りにどのように役立つのか不明であり、ノウハウに不足するのであれば、まず法定協議会を設立した上で、中央バスなど民間事業者の協力を得ながら、市内全体の実情についての調査を早急に行うべき」などの指摘があった。
 これに対し、市は銭函でのアンケート調査がノウハウ作りに必要であることを繰り返し、頑なに民間事業者の協力を拒むような態度に終始した。
 森井秀明市長と同社・牧野和夫社長との間で、平成29(2017)年1月19日に行われたトップ会談では、森井市長が、「赤字覚悟の事業を事業者が無条件で受け入れることが(法定)協議会開催の条件」といった主旨の発言をしたことに加え、その後、市長自らが発言した内容を否定し、トップ会談で行われた他の事項についても、6月議会で事実と異なる答弁をしたとするなど両者の関係悪化が続いている。
 森井市長は、「自らの発言が誤解を与えたようだ」と6月議会では答弁しており、委員から、「誤解を生じさせたと認識しているなら、市長から社長に出向き、早急に誤解を解く努力をするものではないか」と強く指摘されると、森井市長は、「職員と相談して決める」と答えた上で、中央バスに足を運ばないことについて、「市としては調整の努力をしており、(自分が出て行く前に職員に)地ならしをしてもらっている」と、全く当事者意識の欠けた発言を行った。
 同委員会では、関係改善に努力しない森井市長の姿勢が、公共交通全体の計画策定のための、市と事業者との良好な協力関係を築けない状況を生み出していることが推察される質疑に終始した。
 今後、9月初旬に開催予定の第3回定例会に議論の場が移されるが、自民・公明両党が議会審議に入る前提として、市コンプライアンス委員会が指摘した高島漁港区の一連の許可における条例違反や、中央バスとの協定が整っていなかったことを議会に隠して「ふれあいパス事業」の補正予算案を計上することについて、森井市長に説明を求める申し入れを行っており、森井市長の対応次第では定例会が開会に漕ぎつけるかどうかも怪しい状況となっている。
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