大規模災害訓練!市立小樽病院



 災害拠点病院に指定されている市立小樽病院(若松1・近藤吉宏院長)は、9月16日(土)10:00から12:00まで、大規模災害を想定した訓練を行った。
 多数の傷病者の院内搬送に対応するための問題点を把握し、小樽市消防本部との連携の構築を主な目的として、模擬患者を仕立てた本番さながらの訓練を実施。
otaruhospitalfire1.jpg 模擬患者51名(市民や看護学生、外国人)を設定し、医師・看護師・事務職員・看護学院生・柔道整復師などの関係者約200名が参加した。
 北海道北西沖の沖側と沿岸部の2つの震源地によるM7超の地震・津波が、平日13:00に発生。市内では、死者予想100名・負傷者数400名。停電発生のため自家発電稼動との想定で行われた。
 同院では、1年目は図上シュミレーション訓練を行い、昨年から訓練を実施。3回目となる今年の訓練は、これまでの問題点から、各エリアで患者リストを完成させ、救急外来を使用した患者動線の確認、災害訓練用カルテを立ち上げ、昨年よりも倍の事務職員を配置するなど、重点的に実施した。
otaruhospitalfire2.jpg 消防による一次トリアージ(患者の重症度に基づいて、治療の優先度を決定して選別する)後、ブルーシート(車庫内)内の傷病者一次集積場所から重症患者を救急車で病院へ運び救急外来にストレッチャーで搬送した。
 正面玄関では、多数の傷病者のトリアージを実施。すぐに治療が必要な傷病者は赤・歩けない人は黄色・歩ける人は緑・死亡者は黒に分けた。
 分けられた場所で、患者リストをホワイトボードに記入。氏名・年齢・性別・傷病名等の情報が公開された。外国人へは、iPadの通訳付きテレビ電話を使用して行われた。
 11:35に訓練終了。その後、同院2階の講堂で反省会が行われ、今回使われた全国的に支援を求めるEMIS(広域災害緊急医療情報システム)をプロジェクターで映し、担当職員から説明があった。
otaruhospitalfire3.jpg 近藤本部長(院長)は、「それぞれに役割があるが、具体的に役割をどれだけ認識しているか疑問だった。訓練を実施する前に集まって、役割を確認する必要があると感じた。医師・事務員が足りないと誰が要請するのかで混乱していた。今日は看護部長が中心的となり声をかけていたが、本来やるべき人は誰なのか、今後の課題となる。重症患者30名を受け入れることとなり、どんな患者なのかなかなか把握できない。受け入れないのであれば、早くに転送を手配しなければならない。その情報が上がって来なかったのが反省点。このように訓練をすることで課題が出てくるので、やる意義が大きかった」と話した。
 DMAT(災害派遣医療チーム)の医師・岸川和弘総括責任者は、「有意義な点としては、実際に救急外来を使用してシュミレーションできたこと。患者情報の集約化が昨年と比べてかなり充実できたことが成功点。この後の課題は、参加人数が少ないために人手が足りないことが各部署で見られ、今後、人の配置をどうするか、まだまだ災害に対する意識を高めることも含めて反省点だった」と講評を述べ、電子カルテを導入しているため、停電時には検査や措置の内容が制限される課題を指摘した。
 市立小樽病院 広域災害緊急医療情報システム(EMIS) 関連記事