今シーズン初の上位蜃気楼! 球形タンクや建物が変化


 高気圧に覆われ、4月18日(水)13:14に、最高気温15.5℃を記録した小樽では、蜃気楼ウオッチャーによる今シーズン初の上位蜃気楼を観測した報告が相次いだ。
 観測に成功したのは、蜃気楼研究を続ける小樽市総合博物館の大鐘卓哉学芸員と、毎年初蜃気楼の観測に成功している、パソコン講師でシステムエンジニアの柴田進さんだ。2人は共に北海道・東北蜃気楼研究会会員でもある。
 石狩湾新港の球形タンクや北石狩湾衛生センターの建物が、通常の数倍に伸び上がる変化を画像に捉えた。
 上位蜃気楼は、暖かい空気と海面の冷たい空気の境界で、光が屈折することなどにより起こる珍しい現象で、石狩湾では、4月から7月にかけて発生。「高島おばけ」と呼ばれ、1年に数回しか見られない珍しい現象。北海道の名付け親で知られる江戸末期の探検家・松浦武四郎の「西蝦夷日誌」にも記され、武四郎が見た様子が紹介されている。
 初観測に成功した大鐘学芸員は、18日11:00頃から12:30頃まで、小樽市高島で、対岸の石狩市の構造物が蜃気楼現象により形状変化したのを確認。規模は中規模で、構造物の反転像も現れ、双眼鏡の観察で蜃気楼だと判別できる程度と発表した。
 11:20には、北石狩衛生センターの煙突が伸びているのを確認。
 11:50過ぎには、建物が上方反転して、大きく見えたり、上方に虚像が見えた。
 12:00頃になると、再び新港タンク群が変形。(大鐘学芸員提供)

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 特に、球形タンクの上に虚像が見えたのは、見応えがあった。
 柴田さんは、18日に天気予報で気温が上がることが分かり、風や波が穏やかであれば蜃気楼が期待できると、昼前に銭函海岸へ観測に出かけた。12:00過ぎから13:30頃まで蜃気楼が発生。初観測に成功。
 柴田さんによると、「到着後、すぐに石狩湾新港から厚田方面の海岸が伸び上がっているのが分かり、早速、撮影を開始。すぐに北石狩湾衛生センターの建屋が通常の数倍に伸び上がっているのが分かりました。(柴田進さん提供)

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 これは肉眼でも分かるレベルのものです。(添付画像参照)12:16の画像
 また、望来ー厚田方面の海岸がまるでバーコード状、いや宝石のメノウの模様のような姿を見せてくれました。こちらも添付画像を参照ください。12:19と12:21の画像
 一方、小樽側は典型的な下位蜃気楼でした。石狩湾上で一方では上位蜃気楼、他方では下位蜃気楼となり、それらをが同時に見られるのですから楽しいですね。12:17の画像
 皆さんも暖かく、穏やかな日には小樽周辺の海に出かけて、高島オバケを自分の目で見られることをおすすめします。大きな高島オバケを見たら、きっと人生観も変わりますよ」とコメントした。
 引き続き、気温が高めに経過する予報。上位蜃気楼の発生に期待が高まる。
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