"小樽画壇の煌めき"! 美術協会50周年特別展


 小樽美術の発展に寄与した小樽美術協会の50周年に合わせ、市立小樽美術館(色内)2階企画展示室で、6月5日(火)から7月8日(日)まで、同会創立会員の作品を集めた特別展「小樽画壇の煌めき 描きつぐ伝統と発展」が開かれている。
50bijutu1.jpg 市の美術界を彩る同会の創立会員44名のうち、同館に所蔵する幅広いジャンルの24名の57点と、会の歩みを紹介している。
 同会の50周年記念事業に関連し、普段あまり見られない作品も展示。同会画壇の素晴らしい作品に触れる貴重な機会となっている。
 北海道で逸早く小樽に洋画研究所を開設し、小樽画壇の生みの親と言われる三浦鮮治氏を筆頭に、平澤貞道氏に水彩画を学ぶ平田豊策氏など、同研究所を盛り上げた古い画家達や、小樽に移住してからダイナミックな海の風景を描く渋谷政雄氏、多くの画家がヨーロッパで学ぶ中、東南アジア方面に留学した小林剛氏の現地の風俗を取材したメナム河流域の異色な作品を展示。
 さらに、小樽の風景画を描く小樽派と呼ばれる著名な画家達の、愛着ある地元小樽の風景が並ぶ。
50bijutu2.jpg 小松清・小川清・千葉七郎の3氏が集まり同会発足に向けて話し合い、1969(昭和44)8月に創立展を小樽市産業会館で、会員44名・78点を展示して開いた。創立会員には、中央画壇や海外で高い評価を受けている作家が多く、小樽美術の一層の発展に寄与することを目指したという。
 小川氏の作品「坂の上の建物」(1985)は、冨澤謙氏と一緒に下宿していた思い出深い作品。市民にも絶大な人気があった作家の1人だ。
 臨場感溢れる風景画を境目に、一原有徳氏・小松清氏・千葉豪氏・高橋好子氏等の抽象画15点が並ぶ。
 同会が生まれた頃、具象画と抽象画がぶつかり合い、お互い磨き合って良いものを発表していく中、抽象画も良い絵と認める画家も現れ始めた。
50bijutu3.jpg 手描き紋章上絵師の小樽職人の会の千葉氏は、美術史に残る傑作、ミクストメディア・コラージュ作品「白い記憶」(1970)や、まがたまを細胞のように描いた「生態Ⅱ/LifeⅡ」、一原氏の巨大なモノタイプ作品も印象深い。
 星田七重学芸員は、「この会は美術館と共に歩みを同じくしてきた。同会の画家は、小樽の美術史そのものと言って良い。抽象と具象が激しくぶつかり合い、お互いが切磋琢磨しながら地位を獲得し残った作家達。これぞ地域の誇りとする画家集団と思える。当館のコレクションの中で良いものを展示し、顔触れからも分かると思うが見応えがある。館内の一原ホールと善作さんの作品を合わせて観ていただきたい」と話した。
 同展関連事業
 6月17日(土)9:30〜12:30 同館1階ミーティングルーム
 版画ワークショップ 一原有徳のふしぎな画法をさぐる
 6月24日(日)14:00〜15:30 同館2階展覧会会場
 ミュージアムコンサート1 札幌コダーイ合唱団 指揮・中村隆夫
 7月8日(日)14:00〜15:00 同館2階展覧会会場
 ミュージアムコンサート2 野瀬栄進