北前船の遺構を巡る おたる案内人がガイド


 北前船日本遺産認定を祝し、8月18日(土)10:00から、小樽観光大学校主催の北前船が遺した倉庫と遺産を巡るガイドツアーが行われた。
kitamaetour1.jpg 認定後初めて北前船に関連したガイドツアーが実施され、小樽・札幌・苫小牧の男女31名の参加者に対し、おたる案内人ボランティアガイドの会(岩崎迪会長)6名が案内を行なった。
 北前船は、江戸時代中期から明治30年代にかけて、大阪と北海道を西廻り航路で、商品を売り買いしながら文化も運んでいた。昨年認定の11市町で構成する日本遺産「荒波を越えた男たちの夢を紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~」に、新たに今年5月、小樽市も含む全国27の自治体が追加認定された。
 小樽市の北前船の構成文化財は、船乗りたちが出港前に日和を見た日和山や同船で運んだ物品の保管のために建造した倉庫群、当時の写真や航海の安全を祈願し奉納した船絵馬、北前船の回船業を営んだ西川家の文書など全部で7つあり、本日のツアーでは、旧北浜地区倉庫群を巡り、北前船関係古写真・西川家文書について解説した。
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 散策ガイドコースは、旧小樽倉庫~小樽市総合博物館運河館~旧大家倉庫~小樽運河~北海製罐~北運河倉庫群(旧増田倉庫・旧広海倉庫・旧右近倉庫)~旧日本石油倉庫を、90分ほどかけて巡った。
 小樽市総合博物館運河館所蔵の同文書から同船との交易の記録を、同館・菅原慶郎学芸員が解説し、参加者はメモを取りながら話に聞き入った。
 また、同館所蔵の明治36(1903)年頃、沢山の船が往来する小樽港の様子が撮影された貴重な写真も紹介。
kitamaetour3.jpg 同船の船主たちが船で運んだ物品を保管するために建てた旧増田倉庫・旧広海倉庫・旧右近倉庫3つが、現存しているのは大変珍しい。明治10(1877)年頃、北陸北前船の五大船主の筆頭の広海家は、英国から汽船を買い、本格的に海運業に進出したという。民族芸能や食文化も運び同船全盛時代に思いを馳せた。
 ガイド役の大井厚夫さんは、「北前船主の皆さんが、小樽に多くの遺構を残したことに感謝し、それを保存・活用していくために、小樽市民として守っていく務めががあると思い、私達、同会31名は活動している」と話した。
 市内の夫婦は、「知らないことが多くて勉強になった。転勤族だったので、大阪に住んでいた頃、復元した北前船を見た。素晴らしいガイドだった」と満足した様子だった。
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