未決着の条例違反を質す! 市議会一般質問


 小樽市議会(鈴木喜明議長)の第3回定例会は、10月3日(水)に一般質問を行い、公明・秋元智憲、立憲市民連合・面野大輔、共産・新谷とし、小貫元、自民・山田雅敏各議員が質問した。
 秋元議員は、高島漁港区に観光船事業を許可した前市長の条例違反について、市が観光事業者に対して許可を取り消し、違法建築物を条例に適合するように是正措置を求める通知をした後の状況と対応を質問した。
 迫(はざま)俊哉市長は、是正措置の履行期限である8月7日が過ぎた9月末時点で、未だ是正措置が講じられていない状況を明らかにし、再度、口頭指導や文書指導を繰り返し行う考えを示した。
 また、一連の許認可が条例の解釈の誤りによって行われたことを認め、客観的に判断できる事務処理マニュアルの必要について、内部で議論していることを明らかにした。
 さらに、秋元議員の質問に対し、市の許可によって不利益を被った高島漁港の漁業者に対して、市長は謝罪の言葉を述べた。
 担当部長からは、観光船事業者が是正に応じない理由については、「納得できない」としていることが説明され、「現状では強制執行が困難であることから、顧問弁護士とも相談しながら粘り強く指導を続ける」と今後の対応について答弁があった。
 面野議員は、観光船事業が市の誤った許可によって被った損害に対して賠償請求が行われた場合の市の対応について質問した。
1003council.jpg 市長は、誤った条例運用による損害賠償は、「国家賠償法に基づく補償を行わなければならない」と賠償に応じる考えを示した。
 同議員は、条例違反を指摘した議会に対し、前市長が、「全責任は私が取る。心配無用だ」と議場で発言したことに触れ、賠償請求を前市長に求めることが可能かどうか質問した。
 担当部長は、「行政手続きの責任者は専決規則で決められているが、前市長が全責任を取ると、議会で発言したこととの整合性も考え、慎重に判断していく」と答えた。
 新谷議員は、防災に関する質問で、小樽市地域災害計画に停電対策を入れるべきとする指摘を行った。
 市長は、「今回の大規模停電を踏まえ、改めて停電対策の必要性を感じた。地域防災計画に停電対策の位置づけを検討する」とした。
 冬期間に長時間の停電が起きた場合の対策についての考えを問う質問に対しては、「避難所の開設当初は、暖房器具や照明の手配に時間を要することが考えられ、充分な避難者対応が困難」とした上で、「市民の安全を確保するための対策を引き続き検討する」と答えた。
 また、3日分の食料や生活必需品などの準備をするなど、市民一人一人が自身を守る「自助」や地域住民が互いに助け合う「共助」が重要である考えを述べた。
 小貫議員は、港湾整備に関し、1972年以来、小樽港に投入された整備費が石狩湾新港の整備費と比べて、4割にしかならないことに触れ、新港建設時の知事の約束だった「小樽港の整備優先」が守られていない懸念を示しながら、前市長によって中断している港湾計画を、「小樽港の整備優先」の立場にたって改訂を急ぐことを求めた。
 市長は、出来るだけ早く作業を再開する考えを述べ、準備が整い、作業に係る予算が発生することになれば12月議会で補正するとした。
 山田議員は、他市が取り入れている、道路照明の整備・更新や図書館の雑誌の購入の民間企業によるスポンサー制度について、新たな財源確保策として、市の見解を質問した。
 市長は、経費の削減だけではなく、財源確保対策としてスポンサー制度をはじめ、他市が取り入れている他の先進事例の取り組みの導入の可能性について研究を進めたいとした。
 質問要旨
 H301003小樽市議会本会議1
 H301003小樽市議会本会議2
 H301003小樽市議会本会議3