鈴木吾郎と新鋭作家展開幕 市立小樽美術館

 市立小樽美術館(色内1)は、開館40周年を記念し、地元ゆかりのアーティストに焦点を当てた4つの展示会を企画した。
 冒頭を飾る第1弾、同館2階企画展示室で、特別展「鈴木吾郎と新鋭作家展~時を紡いで~」が5月18日(土)に開幕。
 
 彫刻家の鈴木氏は、美術教師として小樽潮陵高校・札幌西高校などで、多くの生徒を指導。今回は、鈴木氏の教え子達の中から、自立しアーティストとして活躍する9名の作品を集めた特別展を企画。出展アーティストトークを2回に分けて開く。
 
 早速、初日の10:00から企画展時室で、アーティストトーク「鈴木吾郎先生との思い出 自作を語る」が行われた。
 
 鈴木氏をはじめ、秋山一郎・大原央聡・藤枝由美子・平埜佐絵子氏が、鈴木氏との思い出と作品について語り、来館者が耳を傾け、貴重な時間を過ごした。
 
 同校美術部「白潮会」に所属した生徒達の成長した姿のグループ展となり、鈴木氏は、「彼らは、教えていた頃よりもはるかに想像を超えた活躍をしている」と話した。
 
鈴木氏は、テラコッタ作品の原点となる1980年作「風髪’80」をはじめ、顔と女性をメインにして制作。
 今年5月に焼いた新作は「男の顔」。テラコッタに使用する粘土は、人類のDNAが働いていると感じ、世界中で誰も作らないオリジナリティーにこだわる。
 秋山一郎氏は、現在京都在住で、5年前から身の回りの物から作品を生み出している。
 会場に展示したスプーンは、家の近くの倒木を素材にし、山に生息している約40種類の草木を使って染めたエプロンや布など、アトリエで制作しているものを展示した。
 19日(日)12:00からは、秋山幸子さんによる手づくりオルガンの演奏会、13:00から、木の質感を体感するため、展示スプーンを使って実食が行われる。「本物の色や日本でしか味わえない美しさの価値を感じてもらいたい」と話す。
 暗室で作品を発表する藤枝氏は、小樽の風景とガラスの椅子など、作品を一体化させることをコンセプトにし、そのままの美しさを求めている。
 
秋山氏
藤枝氏
平埜氏
大原
上嶋氏
 鏡の椅子を置き、ピンホールカメラを使って旧日本銀行小樽支店の望楼や通る車の反転した影を取り込んだ。
 2回目のアーティストトークに出演予定の上嶋秀俊氏は小樽在住。水をテーマに作品作りを行い、新作「水のもり」を発表。
 6年前に参加したハルカヤマ藝術要塞の野外展示に、木に枝をつけた作品を発表。山や森・林を歩くと、木が天に向かって手を広げてているようで、健やかに育っていると感じ、木は水で育ち、水は人間だけに必要なものではないと、木や植物の命の源と感じ、それからは水をテーマにしている。
 松や木の皮などを使って、会場の壁に表現。作品の前を歩いて、水や木の音を感じてもらいたいと話した。
 会場は、鈴木氏に学んで影響を受け、そこから独自の世界を生み出し、個性溢れる作品群を、鑑賞する人々で賑わっていた。
 
 鈴木吾郎と新鋭作家展 5月18日(土)~7月15日(月・祝)9:30~17:00
 市立小樽美術館(色内1)2階企画展示室
 休館日:月曜日(7月15日除く)