藤本俊子回顧展 市民ギャラリー

 小樽を代表する女性画家のひとり、藤本俊子(1906~1984)の回顧展が、
7月18日(木)から21日(日)まで、市立小樽美術館(色内1)1階多目的・市民ギャラリーで開かれる。

 小樽の商家に生まれ、12人兄妹の中で小樽が栄えた時代に育つ。結核を患い療養生活を過ごしたのち、40代後半頃から本格的に画業に専念。自分らしく心情を表現した。国松登氏に師事し、多くの賞を受賞。74歳までの35年間精力的に制作活動に励む。

 会場には、明治・大正・昭和の3時代を生きた同氏の同館所蔵16点と、実家の石蔵で保管されていた20点を合わせ36点を展示。同氏が織り成す不思議な世界を会場で体感する機会となる。

 同館では、1992(平成4)年に小樽市民会議主催「藤本俊子とその世界」展、2000(平成12)年に、同館主催で「藤本俊子と西村貴久子」展を開催した。

 2014(平成26)年に特別展「小樽の女流画家たち~庁立小樽高女の系譜~」でも紹介しているが、個展としては19年ぶりとなる。

 同作品展は、親族で作る藤花会の主催で、同氏の妹・木部芳子さん(95)の娘で、姪の笠間紀子さん(小樽在住)が代表を務める。同氏の良き理解者である芳子さんは、この度の作品展をとても喜んでいるという。

 生前の同氏の印象について笠間代表は、「人に会ったり話をするのが好きで、朗らかでユーモアがある人。国松氏に師事し、マリーローランサンの色使いやシャガールの内面さなどに影響され勉強熱心だった。モダンな色使いで、よく見るとカラスや目玉が描かれ、絵の深さを感じ、いくつかの作品に描かれた手は、人生の象徴のようなもの」と語る。

 笠間代表は、「タイトルは同じ“野原にて”ではあるが、若い頃は魅力的に、中高年では悩み深さを、集大成となる晩年は、祈りに変わっている。年齢とともに作風の変化を会場で感じてもらいたい。個人が所蔵したままでは、皆さんに観てもらえないと思い開催。昔を知っている年代の方をはじめ、皆さんに足を運んでいただきたい」と来館を呼びかけた。

 記憶の混沌から「藤本俊子回顧展」

 7月18日(木)~21日(日)10:00~17:00(最終入館16:00)

 市立小樽美術館(色内1)1階多目的・市民ギャラリー 入場無料

 

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