巡視船ほろべつ年頭訓練 小樽海上保安部

 小樽海上保安部(港町5・藤本裕之部長)は、2020(令和2)年年頭の潜水訓練を、1月7日(火)13:00から、巡視船ほろべつ定係地の小樽港第2号埠頭7番岸壁(港町2)で実施し、厳冬期の水難事故に備えた。

 曇空の下、気温1.4℃・水温5℃で、この時期としては穏かな日となり、同船乗務員21名のうち19名が参加。溺者救助訓練・登はん訓練には、新人の高野竜晟さんを含む、小宮山啓太さん・倉幸永さん・杉山慧さんの潜水士4名が参加した。

 溺者救助訓練では、転覆したボート内の要救助者役に潜水士歴4年の小宮山潜水士が務め、漂流者にダミーが使われた。船尾の警備救難艇を乗員で準備し、海面まで降下させた。

 同船から倉潜水士と杉山潜水士2名が飛び込んで救助に向かい、船尾から同救難艇が出動。海面漂流者1名を救助し引き上げた。

 次に転覆船内にいる要救助者を、同救難艇から同潜水士2名が入水し、叩いて内部状況の反応を確認。潜水許可を得て進入し無線で繋がり状況を報告。意識ある要救助者を発見し同救難艇に救助。同船上で意識混濁状態の要救助者の心配蘇生を行った。

 次に、潜水士4名による、船首から水面に飛び込み4mのロープを上る登はん訓練とロープを渡る渡過訓練が行われた。ロープを足で挟みながら一気に登り、掛け声に合わせて、かじかむ手と足を使ってロープを迅速に渡った。

 11月にデビューしたばかり高野潜水士は、先輩の激励を受けながら、無事に渡り終え、訓練は終了。

 要救助者の小宮山潜水士は、「15分ほど船内にいて、空気層で息をしながら待っていた」と話し、救助に向かった倉潜水士と杉山潜水士は、「要救助者を助けるためには、転覆しているため会話ができないので、水中でのバディ(仲間)とのコミュニケーションが安全管理も含めて重要。それを意識して船内に浸入し要救助者を救出した。陸上との連絡を取りながらの訓練で、上手く通じ合い本船一丸となって訓練できた」と話した。

 初めての年頭訓練に参加した高野潜水士は、「研修を出て3ヶ月。基本的なことは現場に出て活かされ、良い訓練だったと思う。将来的には救急救命士になり、特殊救難隊を最終目標にしているが、事案は同じ状況ではないので、多岐にわたる訓練を通して臨機応変にできるよう訓練していきたい」と話した。

 ◎小樽海上保安部(外部)

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