小樽でメディア芸術祭開幕!

 1月11日(土)~26日(日)の16日間にわたり開催される、文化庁主催の「メディア芸術祭小樽展」の開幕に先立ち、展示会場のひとつである小樽市産業会館(稲穂2)で、10日(金)13:30からオープニングセレモニーと内覧会が開かれ、文化庁地域文化創生本部事務局総括政策研究グループ・星野有希枝リーダーをはじめ、迫俊哉市長、中村裕之衆議院議員などの来賓・関係者ら約30名が出席した。

 小樽展は「メディアナラティブ~物語が生まれる港街で触れるメディア芸術」と題して、大型展示19作品を含む全103作品を、小樽市産業会館・市立小樽文学館(色内1)・小樽市観光物産プラザ(色内2)・小樽市民センター(色内2)の4つを会場に、全館無料で公開する大規模な芸術祭が小樽を舞台に展開する。

 同メディア芸術展は、1997(平成9)年から、メディア芸術「アート・エンターテインメント・アニメーション・マンガ」の作品を世界から公募し、優れた作品を顕彰。受賞作品を、毎年東京で展示紹介している。

 関連事業の地方展は、2002(平成14)年から開催され、地方で優れたメディア芸術を鑑賞する機会を提供。道内では4回目で、認知度の拡大や振興と普及促進を図ることを目的に、今年は小樽と長崎で開催する。

 主催者代表し星野リーダーは、「地方展は、地元の自治体や企業と連携し、地方の特色を出す取り組みを行う。小樽では、市内小中学校へチラシを配布し、明日からの期間中、多くの子どもから大人が来ていただけることを期待している。数々の文化芸術の振興のための取り組みをしているが、このような事業を活用して、文化を通じて地域振興・文化振興に役立ててもらいたい」と挨拶した。

 迫市長は、「展示される作品は、メディア芸術祭で高い評価を受けた作品。チームラボの百年海図巻の日本画風に描かれた海の波が動く作品を観て、波のうねりが繰り返される様子は、小樽市も構成自治体となっている同じく文化庁が進める日本遺産の北前船を思い起こさせる。コンピュータグラフィックが日本画と出会い作品が生まれ、それが小樽に展示されることにより、日本海を悠然と進む北前船との歴史と重なり合い、いくつもの出会いが生まれることが、地方展との醍醐味であると感じた。最先端のメディア芸術の作品を、市民や観光客に紹介できることを嬉しく思う」と期待を寄せた。

 同小樽展・岡田智博ディレクターは、「メディア芸術は、我が国独自の芸術文化で、最先端テクノロジーを反映したアートやエンターテインメント、マンガ・アニメを含めた新しい時代のアート全体を含くめたもので、多くの人に観ていただきたいと地方展が存在する。

 小樽の外で活動しUターンして、それぞれの得意を持った人が、小樽を良くしまちづくりをしたい声に賛同し、文化庁に提案した。手作り感溢れた小樽メイドのまちづくりの展覧会、新しい分野であるからこそ、地域の人と一緒になり、何か産み出して行こうとチャレンジできたことに感謝している。観光客や次の世代の若者、もしくは小樽に愛着を持たれている人達たちが、再確認し盛り上げていこうとする契機になればと思う」と述べた。

 同館では、テーブル上の円錐のセンサーに触れると、様々な影が動き出す、近森基氏の第1回デジタルアート部門大賞作品「KAGE」を展示。

 小樽出身の山口一郎作詞作曲・サカナクション楽曲の第14回エンターテインメント部門優秀賞作品「アルクアラウンド」を流し、クリプトン・フューチャー・メディアの「SUOW MIKU(初音ミク)」や、同展エグゼクティブアドバイザーでゲームクリエイターの小樽出身の水口哲也氏による、第20回エンターテイメント部門審査委員会推薦作品のVR(仮想現実感)を使った光と音楽を楽しむゲーム「Rez Infinite」に触れることができる。

 現代美術家でデザイナーの長谷川愛氏の、第14回アート部門優秀賞の同性カップルの遺伝子情報から外見や性格などの体質の特徴が含まれる架空の子どもの画像作品「可能な子供 朝子とモリガの場合」も展示。

 三番庫では、メディアアート研究者の児玉幸子氏の第5回デジタルアート部門大賞作品「突き出す、流れる」より「モルフォタワー」、後藤映則氏の第20回アート部門審査員会推薦作品「toki-」から「CROSSING ♯03」、チームラボの第14回アート部門審査委員会推薦作品「百年海図巻」より「百年海図巻 アニメーションのジオラマ」など4作品を展示。

 アニメーション部門では、第20回アニメーション部門大賞作品の新海誠氏の「君の名は」、第19回の優秀賞作品・岩井俊二氏の「花とアリス殺人事件」、第16回の優秀賞作品・細田守氏「おおかみこどもの雨と雪」の長編アニメーション映画をマリンホールで上映。短編8作品は同館で上映する。

 長編映画鑑賞希望者は、11日(土)に同館内のインフォメーションで整理券を配布予定。各映画につき先着400名。

 市立小樽文学館無料スペースで、マンガ部門の第22回と第23回の受賞・入選作品を、同芸術祭初の試みとして小樽展だけ特別企画する。12日(日)~13日(月)は、漫画家の瀧波ユカリ氏と詩人の三角みづ紀氏が、小樽に滞在して得たインスピレーションを作品に表現して制作の様子を公開。16日(木)から成果を展示する。

 11日17:00からオープニングセッション「メディア芸術と物語性ー街と結びつくナラティブ」と題して、メディア美学者の武邑光裕氏(遠隔参加)とクリプトン・フューチャー・メディア伊藤博之代表、水口氏が、メディア芸術という言葉に潜在するアートとテクノロジーの可能性と魅力を伝え、メディアナラティブを解き明かすほか、関連イベントも多彩に企画されている。

 ◎文化庁メディア芸術祭総合ウェブサイト(外部)

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