開館40周年記念特別展 小樽派の祖・工藤三郎展

 市立小樽美術館開館40周年を締めくくる記念特別展「未来をみつめて-小樽派の祖 工藤三郎展」が、1月25日(土)から3月15日(日)まで、同館2階企画展示室で開かれている。

 同館1周年を記念した第1回目の特別展も「小樽画壇の先駆-工藤三郎展」だった。

 北海道の洋画発展の先駆的画家で「小樽派の祖」と呼ばれた同氏(1888-1932)は、小樽に生まれ裕福な家庭に育ち、東京美術学校(現東京芸術大学)に進学。卒業後、中国やフランスに渡り、3年間パリで過ごした。ひと学年違いの長谷川昇氏や小寺健吉氏も渡欧した画家仲間。

 父の病気のため、帰郷を余儀なくされ、家業を継ぎながら、後進の指導にあたるも、帰国後8年足らず44歳の若さで亡くなり、2020年の今年没後88年となる。

 長谷川氏や小寺氏・中村善策氏・伊藤正氏等の作品とともに、採石場や鰊漁場などの労働者にスポットを当て、人々の生活を描写した作品など43点を展示している。

 渡欧後は、セーヌ川の風景や裸婦にも挑戦。「海の幸」は、浜に大量の魚が上がって大勢の人の働く様子が描かれている。渡欧前後に描いた肖像画も並ぶ。

 企画担当の山田菜月学芸員は、「工藤氏がフランスから小樽に帰り、洋画の種を蒔いたことで、今どのように油絵が続いているかもテーマとしている。同氏の作品から、当時の小樽の風景や歴史を感じられると思う」と、来場を呼びかけた。

 会場入口には、市内の桜陽高校・高等聾学校・双葉高校の美術部員と、高等聾学校専攻科情報デザイン科の生徒による「工藤三郎はどんな人物だったか」を描いた肖像画21点とワイヤー作品を展示している。

 関連事業として、2月11日(火)18:00〜19:00に、杉田知子氏(ヴァイオリン)と矢崎有佳氏(ピアノ)によるイブニングコンサートを、3月1日(日)14:00〜15:00に、小川原脩記念美術館の柴館長によるミュージアムトーク「パリに渡った日本画家たち」を予定している。

 市立小樽美術館開館40周年記念特別展Ⅳ「未来をみつめて-小樽派の祖 工藤三郎展」

 1月25日(土)~3月15日(日)9:30〜17:00(入館16:30)

 月曜日(2/24除)・2/12・25・26休館

 市立小樽美術館(色内1)2階企画展示室

 観覧料:600円、高校生・市内70歳以上300円、中学生以下無料

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