ストリートピアノで繋ぐ3/11 東日本大震災から9年

 小樽サンモール一番街商店街振興組合(三ツ野篤久理事長)の小樽ストリートピアノ実行委員会(荒澤之博委員長)は、東日本大震災から9年目の3月11日(水)、追悼セレモニー「第9回ストリートピアノでつなぐ祈りのハーモニー」を開催。新型コロナウイルス感染拡大防止に配慮して縮小したが、約80人の市民が集まった。

 2011(平成23)年2月に九州・鹿児島でスタートした同プロジェクト実行委員会は、北海道から沖縄までの26会場で、今年の開催を予定していたが、本部事務局(鹿児島まち自慢快発考舎ストリートピアノJAPAN事務局)の判断で、自粛・中止とした。

 小樽では、サンモール商店街内のおたる屋台村レンガ横丁にストリートピアノ設置後の2016(平成28)年から同プロジェクトに参加し、これまでの追悼セレモニーでは、市民をはじめ、双葉高校合唱部や合唱愛好家ら約80~200名が集まり、震災を忘れないようにと心をひとつにしてきた。

 小樽でも、同ウイルス感染拡大防止のため、5回目となるセレモニーを自粛。不特定多数の参加を募ることを止め、商店街店主や運営スタッフの自主参加でプライベートな活動としてひっそりと行うつもりだった。

 14:30から、司会の荒澤実行委員長は、スタッフと商店街のみで行う予定が、参加者の多さに驚き、「絶対に忘れない」との強い思いを語り、市民の多くが高い関心を持っていることが伺えた。

 三ツ野理事長は、「集中豪雨や様々な災害、新型コロナウイルスなど、自粛は苦渋の選択となった。小樽という災害の少ない町に住まわせてもらっている感謝と、東日本大震災で犠牲になった方々のご冥福をお祈りするとともに、被災されても頑張っている方々に対しては、さらなる深い思いを持ち、私たちは決して忘れていないことを伝えたい」と挨拶。

 会場では、地震発生時刻の14:46に一斉に黙祷を捧げ、市内在住のピアニスト三浦明子さんの演奏で「ふるさと」や復興ソング「花は咲く」が流れ、かすかに歌声も聴こえ、被災地復興を心から願った。

 昨年から続けて参加した女性は、「子どもが三浦先生のピアノ教室に通っているので、昨年初めて参加し、震災を考える良い機会となった。震災に思いを馳せる機会がなかったので、子どもたちにとっても良いイベントで反応が良かった。今年は自粛と聞いていたが、みんなで来場した」と話した。

 演奏を終えて三浦さんは、「このご時勢、関係者だけで開催するかとても迷い、苦渋の決断だった。当日、沢山の皆さんが集まっていたので感謝した。立ち直っていない現状や被災者の方々の顔や気持ち、訪問した時の話を思い浮かべながら思いを込めてピアノを弾いた」と感想を話した。

 2021(令和3)年は大震災から10年の節目。更なる被災地への鎮魂と復興の祈りを捧げ、防災意識を高める取り組みに賛同と協力を求めた。

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