谷口能隆が魅せる 十間坂ドキュメンタリー写真展

 当初、3月21日(土)開始の予定が、新型コロナウイルス感染拡大防止措置による休館が続き、4月8日(水)より再開となったが、開館時間を短縮して、谷口能隆氏の写真展「Dead End /十間坂」が、市立小樽美術館(色内1)2階企画展示室で始まった。

 

 北海道発展の拠点となった手宮地区にある十間坂に魅せられ、十間坂で暮らす住民の日常の様子や今は無き周辺の風景など、モノクロ写真44点が綴るドキュメンタリー写真展。

 

 同氏は、1958(昭和33)年岩見沢市に生まれ、父の転勤で道内各地を移転する中、1968(昭和43)年から1971(昭和46)年まで市立花園小学校に通う。中学2年生の頃に親元を離れ、中央大学経済学部卒業。中高大学と写真部に在籍。2016(平成28)年からフリーランスフォトグラファーとなり、現在、札幌在住。

 

 2017(平成29)年、新鋭写真家の登竜門とされる「ニコンサロン公募展」に選ばれ、同年9月に銀座ニコンサロン、翌月に大阪ニコンサロンに展示後、六甲山国際写真フェスティバル・ポートフォリオレビューに参加。

 

 2018(平成30)年、オーストリア・シドニーで開催の国際写真フェスティバル「Head On」グループ展に出展。同年に、札幌のコンチネンタルギャラリーで同作品展を開催し、小樽市民も多く来場。

 

 十間坂は、「荒巻山」と呼ばれる石山の頂上に向かって延びる坂で、その名のとおり十間(約18m)の道幅で、手宮公園からの景色の中に、幅広い十間坂が目に留まり、足を踏み入れたのが始まり。

 

 2012(平成24)年から8年間、手宮地区の撮影を続け、坂の持つ歴史・地形・昔の建物に興味を持った。ここ数年の間に、廃業・解体・更地が目立ち、手宮市場101年の歴史に幕、新たなホテル建設など、変化に富んだ地域であることが分かった。

 

 中心部への人の流れを止め、手宮地区の賑わいを守るため、道路を通す話は実現せず、タイトルにもある行き止まり(Dead End)の坂になったことが分かると、さらに興味を持ち撮影を続けたという。

 

 主に半切と30cm四方のスクエアサイズで、デジタルデータからフィルムにして暗室で現像。プリントから額装まですべて自分で行う。

 

 「手宮の住民の“小樽さ行ってくる”と言う掛け声にように、小樽の中であっても『手宮は小樽にあらず』昔ながらの文化が今でも息づいている。そういう面白さをとても感じる」と話す。

 

 同館開催記念と同地区撮影の8年間の集大成として、会場で展示している44点を掲載した、2冊目の自費出版写真集「Dead End /十間坂」を特別価格で販売している。売上の2割を同館協力会へ寄附する予定。写真集購入等は、谷口能隆Facebookから。

 

 予定していた関連事業のアーティストトークとミュージアムコンサートもすべて中止となったが、小樽ゆかりの作家7名による新収蔵品展も同時開催している。

 

 谷口能隆写真展「Dead End /十間坂」

 4月8日(水)〜5月17日(日)10:00~16:00 5/4を除く月曜・4/30・5/7・8・12・13休館

 観覧料:一般300円、高校生・市内70歳以上150円、中学生以下無料

 市立小樽美術館(色内1)2階企画展示室

 

 ◎市立小樽美術館展覧会の案内(外部)