さあ風景画を始めよう 小樽美術館

 新型コロナウイルス感染症拡大防止措置のため休館だった市立小樽美術館(色内1)1階の中村善策記念ホールで、「さあ風景画を始めよう」が、7月14日(火)から2021(令和3)年1月11日(月)まで開催される。

 中村善策(1901~1983)は小樽に生まれ、風景画の分野で優れた作品を多く残している画家で、1988(昭和63)年10月10日同館1階に、中村善策記念ホールがオープンされ、数々の作品を紹介している。

 今回は、1928年~1978年の風景画と素描合わせて21点を展示。また、東京都在住者から寄贈された善策の特集を掲載した美術雑誌「アトリエ」の中から、風景画の描き方が紹介されている数冊も展示される。

 ほかにも油彩の技法書を数々執筆し、構図や下書き・制作課程を公開した本を通じ、全国に教え子がいて先生と尊敬されている様子を窺い知ることができる。

 これらに刺激を受け、多くの人に風景画を始めてもらいたい思いから、担当の山田菜月学芸員は「さあ風景画を始めよう」とタイトルをつけ、善策の作品をセレクトした。

 大作が多い中、善策の「大切なのは描き切る事」を教えとし、積丹半島白岩(1967)や、初心者にも制作意欲を沸き起こさせるために、夕日や信濃の秋などの小品も展示した。

 風景画を描きたくなるためには、お気に入りの場所を見つけることだと、善策が気に入った場所のひとつ・奥沢水源地の様子が描かれた素描「風景」とともに、同じ場所で異なる季節を描いた「秋の原始林と沼」(1965)と「夏の原始林と沼」(1974)を並べている。

 善策ならではの風景画のコーナーでは、函館を描いた「北海道風景」(1955)、疎開先だった信州の「山村」(1954)など、善策の世界に触れることができる。

 山田学芸員は、「今回の展示作品を観て、風景画を始めてみようと思う人が増えてくれたら良い。小樽の風景画を観て、自分も大切な風景を描いてくれたらなお嬉しい」と話した。

 ◎市立小樽美術館〜中村善策記念ホール(外部)

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