カワウソお司書の読書記録展 市立小樽文学館

 市立小樽文学館(色内1)の無料展示スペースで、文学作品を解説パネルで紹介するミニ企画展「カワウソお司書の読書記録展」が、6月27日(土)から9月27日(日)まで開かれている。

 小林多喜二の「蟹工船」や北原白秋の「桐の花」、石川啄木の「一握の砂」などの文学作品を、カワウソの豊かな表情のイラストとともに、ピント来る一文と分かりやすい文章で紹介。このパネルを見ることで興味が湧き、文学作品を知る良い機会になっている。

 カワウソお司書さんは岩手県生まれ。石川啄木や宮沢賢治の母校と同じ学校を卒業し、円山動物園で獣医やコツメカワウソの飼育員として勤務。現在は、田舎に暮らし、時々小動物臨床に携わる。

 円山動物園に勤務していた頃、ボードに日々の様子を紹介。たまに、文豪ネタを取り入れたところ話題となり、これが読書記録の原点となる。

 同館では、2018(平成30)年開催の企画展「小樽に残した文豪の足跡」で、本格的に読書記録を制作。その時に紹介した読書記録8点と今回の企画展のために書き下ろした7点など、文学作品21点を紹介している。

 合わせて、“カワウソお司書”というネームだけあって、以前は身近にいたカワウソについても説明し関連書籍も展示。自身のプロフィールや、獣医になるきっかけとなり大ブームを引き起こしたマンガ「動物のお医者さん」も展示した。

 カワウソが捕らえた魚を並べる習性を、祭りの供物に例えた表現「獺祭(だっさい)」に関連して、正岡子規は別号として「獺祭書屋主人」を使っていたこととや、同名の日本酒も紹介している。

 会場には、解説パネルに合わせ、同館所蔵の複製の原稿や宮沢賢治の雨ニモマケズが書かれた手帳(複製)、高浜虚子の朗読レコードと関連書籍を展示して、より文学への興味をそそる展示となっている。

 担当の鈴木博子さんは、「これから読みたい方へ、きっかけを与えられるような展示です」と話し、カワウソお司書さんは、「文学の難しそうなイメージを、少しでも変えられたら嬉しいです」と話した。

 企画展関連グッズとして、蟹工船と晴耕雨読のハンカチを1枚400円(税込)で販売している。

 ◎小樽文学館企画展・特別展(外部)

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