旧小樽倉庫本庫で初公開 航海安全祈願“船絵馬”

 小樽市内で発見され、航海の安全を祈願し奉納された船絵馬を紹介する企画展が、9月10日(木)~22日(火)、小樽百貨UNGA↑(色内2・旧小樽倉庫本庫)2階ギャラリーで開催されている。主催は、北前船研究活用ネットワークと小樽百貨UNGA↑。

 

 小樽商科大学グローカル戦略推進センター・高野宏康客員研究員(歴史民俗資料学)による研究・調査により、市内でも船絵馬が奉納されていたことが分かり、北前船主であった西出孫左衛門と西谷庄八が建てた旧小樽倉庫本庫を会場に初公開されている。

 

 会場では、小樽で見つかったすべての船絵馬を写真パネルにした43点と、塩谷神社所蔵の実物の船名額1点・日本地図、北前船関連の映像をプロジェクターで投影。関連資料も展示し分かりやすく紹介している。

 

 船絵馬は、北前船の船乗りたちが航海安全を祈願して奉納したもので、船や帆・人が緻密に描かれ、船名や奉納者名が記載された歴史的資料としても重要。美術品としても貴重な北前船遺産として注目されている。

 

 龍徳寺金比羅殿(真栄1)の8面と恵比寿神社(祝津3)の2面の船絵馬は、2018(平成30)年5月に、小樽市の日本遺産「北前船」の構成文化財の認定を受けた。

 

 その後の調査で、2020(令和2)年4月に、徳源寺(塩谷2)に隣接する龍神堂内から2面が、同年6月には、塩谷神社(塩谷2)絵馬堂から31面が確認された。これらのほとんどが、明治以降に奉納されたもの。

 

 徳源寺の龍神堂の祭神「八大龍王」は、山形県の善寶寺から歓請されたと伝わり、龍神は、海運業や漁業者たちの守護神として、日本海沿岸各地を中心に信仰されていた。福井県産の笏谷石(しゃくだにいし)でできた狛犬、三十三観音など、塩谷神社も同様に、北前船による日本海沿岸各地との繋がりを伝える遺産が残っている。

 

 奉納している神社や寺院では、希望すれば見学できるところもある。

 

 高野氏は、「日本遺産の構成文化財の船絵馬を紹介する機会がなかったので、これまでに確認された市内の船絵馬全てを、写真パネルで紹介している。日本遺産認定後に、塩谷で発見されたため初公開となる。この機会にぜひ観ていただきたい」と話した。

 

 小樽北前船遺産展@旧小樽倉庫本庫「海を渡る男たちが祈りを捧げた船絵馬」

 9月10(木)~22日(火)11:00~17:00 小樽百貨UNGA↑2階ギャラリー・入場無料

 

 ◎小樽百貨UNGA↑unga plus gallery(外部)