アトリエ収蔵41点 白江正夫懐顧展

 北海道の水彩画界をリードし、小樽の画壇を牽引した水彩画家、故白江正夫氏の懐顧展が、9月16日(水)から市立小樽美術館(色内1)1階多目的・市民ギャラリーで始まった。

 

 没後6年の7回忌に合わせ、同館2階の企画展示室でも、特別展「水彩画家白江正夫からのメッセージ」が開催されている。

 

 今回は、白江氏の妹夫婦の鶴賀武・京子さんが主催し、入船町にある白江氏自宅のアトリエに保管している250点の中から、今まで展覧会に出していない作品を選りすぐり、1967(昭和42)年〜1985(昭和60)年と2000年代の41点を展示。

 

 故白江氏は1927(昭和2)年4月生れ。第一師範学校卒業後、小樽の住吉中学校の教論となり、小樽に定住して水彩画の制作に励んだ。水彩の魅力に取り憑かれ、小樽の風景に題材を求め、2014(平成26)年に亡くなるまで描き続けた。

 

 「描きたい人にとっては、小樽は良い対象物が多い」と、鶴賀さんは作品を観ながら話す。

 

 港の風景や太陽など、独特な色合いが観る人に印象づける。今はなき日常だった小樽の風景が、白江氏の絵画で再び甦るその一枚に、「妙見市場」(1986年)がある。当時、歩道橋の下から市場が連なり、市場の建物に沿うように商店が立ち並び、人々が行き交っている。

 

 銀鱗荘やその下の住宅が描かれた「平磯岬」(年代不明)、案内状に使われた「冬映」(1987年)は、冬の貯木場の厳しい環境の中で、1羽のカモメにより心和ませる作品だ。

 

 モロッコやイタリア、ポルトガルなど海外へ出かけ、特別な建物ではなく、町並みや目に留まった風景を描いた作品も鑑賞できる。

 

 鶴賀さんは、「小樽の皆さんに、ぜひ観に来ててもらい元気になってもらいたい。これらの作品には、画力(えぢから)が感じられる。ほっとしていただけるひとときになれれば」と来場を呼びかけた。

 

 白江正夫懐顧展 小樽への応援歌

 9月16日(水)~27日(日)10:00~17:00(最終日16:00)

 市立小樽美術館(色内1)1階多目的・市民ギャラリー

 9月23日・24日・25日休館 入場無料

 

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