運河館トピック展 額縁の世界を紹介

 小樽市総合博物館運河館(色内2)では、9月12日(土)から12月24日(木)まで、運河館トピック展「額縁の世界ー名脇役のお仕事」が開かれている。

 

 トピック展を初担当した鈴木博子学芸員は、以前、市立小樽美術館で仕事をしていた時、市内に2軒ある額縁店を知り、目立たず空間を引き立てる脇役に徹した額縁について掘り下げてみようと企画した。

 

 同美術館所蔵の額縁5点をはじめ、関係資料を展示して、額縁の歴史と額装の役割を分かりやすく紹介している。

 

 現在、市内には、1906(明治39)年創業の宮井額椽店(花園1)と1913(大正2)年創業の石井ガクブチ店(花園1)の2軒があり、額縁組合に加盟する老舗で、小樽は絵になる風景があることで芸術家が多く、額縁店の需要も高かった。

 

 額縁は、絵画や書・写真・賞状などを入れて壁に飾るための枠で、作品を額縁に入れることを額装と言い、岡村辰雄が1955(昭和30)年出版の「額装の話」から、額装という言葉が定着したと思われる。

 

 ヨーロッパの額縁の歴史は古く、古代の宮殿や教会では、壁画や天井画の縁取りとして使われ、ルネッサン期には、移動可能なデザインの額縁が主流となった。ルイ13世式・ルイ14世式など、それぞれの好みが盛り込まれた額縁があった。

 

 一方、絵を飾る文化が遅かった日本では、神社や仏閣の鳥居に掲げられた木の板に篆刻した文字額「篆額」が額の原型で、8世紀、聖武天皇による東大寺西大門の天皇直筆の書の勅額が最も古く、国宝に指定されている。

 

 小樽生まれの洋画家加藤一豊(1910-2000)の額装した「自画像」や「横向きの裸婦」を展示し、絵画の額は変わることがあるが、自画像は額をとり変えることが少ないのも特徴のひとつであると解説。

 

 マットやフック、モールディング(額縁の枠を四角く組む前の棒状の部品)のサンプルも展示し、額について幅広く知る機会を作っている。

 

 鈴木学芸員は、「絵画は額縁あっての作品で、額縁は作品に一番近く、影で支え、空間を引き立てている。作品は印象に残っても、額縁は思い出せない存在だが、あえてスポットを当ててみた。この機会にぜひ来場いただきたい」と話した。

 

 運河館トピック展「額縁の世界ー名脇役のお仕事」

 9月12日(土)~12月24日(木)9:30~17:00

 入館料:一般300円、高校生・市内在住の70歳以上の方150円、中学生以下無料

 小樽市総合博物館運河館(色内2)第1展示室

 

 ◎小樽市総合博物館運河館トピック展(外部)