小樽美術館 石岡美久氏ワンコイン・スタジオ

 
 市立小樽美術館(色内1)主催でクオリティの高い講座やワークショップを体験する、ワンコイン・スタジオの第5弾が、12月5日(土)14:00から1階研修室で開かれた。

 

 今回は、ファンションデザイナーの石岡美久氏を講師に迎え、「個性を認め合う-私の服作り」と題しトークイベントを実施、興味を持つ市民ら10名が参加した。

 

 同氏は東京都出身で、服飾専門学校在学中の2006(平成18)年に、ブランド「Algorithm」を設立し、レディーガガ・倖田來未・EXILE など国内外の有名人が、衣装や私服として愛用するファンションブランドとして支持を受けている。

 

 2015(平成27)年から拠点を札幌に移し、Algorithmプロデュースによるセレクトショップ兼アトリエ「ゲノム」を立ち上げ、現在、オーナーとして活動し、大谷大学や北海道ドレスメーカー学院の非常勤講師も務めている。

 

 2019(令和元)年サッポロスマイルアワード大賞を受賞し、小樽出身の舞踏家田仲ハル氏の衣装も提供している。

 

 父の転勤でアメリカオレゴン州ポートランドで幼少を過ごし、いろいろな動物と触れ合い、森林伐採や動物虐待に激怒し、小2で父からプレゼントされた「この子達を救いたい」に大きな影響を受け、ひとつでも多くの命を救おうと夢を追った。

 

 中学生の頃は、売られている服に気に入った物がなく、自らミシンを使って服を作り、着たい服を着ると外へ出かけたくなるほど元気になり、自由に見てもらい、感じてもらいたいとファンションの道へあゆみ始める。

 

 専門学校生の頃には、様々な挫折や絶望を繰り返しながら、人の差別や偏見、世の中を変えるためにどうすれば良いか、当たり前じゃないものを当たり前にしたいと、同ブランドを立ち上げた。

 

 誰にも負けない技術を身につけようと努力を重ね、首席で卒業し、会社勤めをしてブランドの製作も続けた。世間の荒波にもまれながら、金がなくても周囲の人を大事にしようを理念とした。

 

 札幌に移住して夢を応援してくれる人たちと出会い、アートやファッションの町として、世界中で一番のファンションの発信基地を北海道に作る夢もでき、事故で障がいを持つ男性からの「カッコ良くてヘルパーが着せ易いジャケット」の注文や、夫から盲人の妻と盲導犬とのペアルックの注文に応え、喜びの声を聞くと、人のために生きていると実感。

 

 「ひとりひとりのコンプレックスを乗り越えて、いろいろな所に希望を持ち、幸せを切り開いていく人生の力添えができればと、服でサポートしたい」と語り、「追い詰められた環境やひどい思い、だましてくる人もみんな人間。そこにも何か意味がある。自分の心が狭くなったら、“だって人間だもの”と思うことで許せると思う。今後も服作りを続け、子どもの頃夢だった動物の保護にも力を注いでいきたい」と締めくくった。

 

 同館では、来年8月に同氏のファッションショーを開催、モデルは田仲ハル氏等が務める予定。

 

 ◎小樽美術館〜ワンコイン・スタジオ(外部)

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