第3倉庫保存活用要望書提出 小樽多喜二祭実行委

 小樽多喜二祭実行委員会(荻野富士夫・倉田稔・琴坂禎子・寺井勝夫・中井秀紀 共同代表)は、「北海製罐小樽工場第3倉庫を保存し、その活用と北運河地域の活性化を求める要望書」を、2月18日(木)14:15から、市役所(花園2)2階小樽市長応接室で、琴坂氏と大地巌事務局長、槍水孝雄委員が出席し、迫俊哉市長に提出。

 

 同会は、2020(令和2)年11月6日にも、保存活用の方途を関係者と市民の英知と合意を集めて具体化し、艀の復活と小樽の歴史を蘇らせる地域への再生計画の実現を要望書として、迫市長に提出している。

 

 北海製罐が所有する第3倉庫は、小樽運河が完成した翌年1924(大正13)年の建造で、鉄筋コンクリート7階建て・延べ床面積7,200㎡。老朽化が進み、2020(令和2)年度中に解体したい話があったが、10月20日に迫市長と同社役員が会い、解体を今年秋まで先送りすることに決まった。

 

 2回目となる今回の要望書には、さらに同倉庫を保存して、どう活用するか具体化について盛り込まれた。

 

 同倉庫は、小林多喜二の作品「工場細胞」の舞台にもなり、2012(平成24)年には小樽市の歴史的建造物に指定され、小樽運河地域の歴史的建造物の象徴として、市民や観光客に親しまれてきた。

 

 歴史的遺産としての価値をどう保存するか、小樽運河の完成とともに小樽経済がグレードアップしたポイントについて、港湾機能と経済活動の発展とどう繋がっていたか、小林多喜二作品を生み出した港湾労働者の世界や運河保存運動を、後世に伝えることも要望。

 

 同倉庫の活用の具体化については、小樽運河を総括するセンターを設置し、歴史資料の展示室や運河のジオラマ、多喜二の世界など、市民や観光客・就学旅行生などの学習施設としての機能を持たせるとした。

 

 また、市民文化の活性化のために多目的ホールを作り、小樽運河の原型を残す北運河地域の価値を高めるために、大型バスや自家用車の駐車場を確保し、艀を復活させ、北運河地域全体の活用も要望した。

 

 今年1月には、同倉庫の保存活用に向けての動きとして、小樽商工会議所(山本秀明会頭)と小樽観光協会(西條文雪会長)が主体となって民間組織「第3倉庫活用ミーティング」が発足。

 

 市民の意識の醸成を図り、広くアイディアを募りながら、保全と活用の方向性をとりまとめ、小樽市に提案することを目的として、2~3月に月2回のコア会議と、3月にオープン勉強会を予定している。

 

 同倉庫の劣化具合に関する調査を行う予定で、第1回定例会では、同ミーティングへ補助金の予算を立て、市長も新年度内に早急に行うべきことと捉えている。

 

 ◎北海製罐小樽工場第3倉庫保存と活用を求める要望書(PDF)

 

 総務部企画政策室・林昭雄室長は、「同倉庫は、市役所別館と同じ広さの大きな建物で、市での維持は大変。同ミーティングを立ち上げ、市民を入れて勉強会を開き、意見を聞いている。大正に出来た建物なので老朽化が進み、劣化具合について調べるために、ガバメントクラウドファンティングなどで資金繰りを考えているところ」と話した。

 

 琴坂さんは、「小樽の財産は、多喜二の小説にも書かれる物語性。お金がないなら生み出しましょう。小樽駅から下り坂となり運河へ歩いていける地の利がある。倉庫のことだけではなく、ひとつの物語として考え、大きな構想になるきっかけとして考えてもらいたい」と要望した。

 

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