知られざる北海製罐第3倉庫 小樽市民見学会

 

 

 北海製罐小樽工場第3倉庫の保存活用について検討する、第3倉庫活用ミーティング(駒木定正座長)は、市民と共に勉強し、保全活用に向けて広くアイディアを聞くために、一般市民等を対象とした見学会とオープン勉強会を、3月20日(土)に実施した。

 

 北運河のシンボル的存在である株式会社北海製罐所有の第3倉庫は、老朽化が進み解体が検討されていた。市は、昨年秋に1年間の解体先送りの猶予をもらった。

 

 今年1月には、民間組織として、同倉庫の保存活用方法を考えるため、小樽商工会議所(山本秀明会頭)と小樽観光協会(西條文雪会長)が主体となり、同ミーティングを発足。

 

 倉庫内部の見学は、同ミーティング発足時に関係者限定で実施され、今回は、9:00~12:00に計4回、各回定員25名を事前申込みで受付けていた。

 

 10:00スタートの2回目は、同会議所の笹原馨さんが案内役を務めた。前回はエレベーターの故障で、2階までしか見学できなかったが、今回は4階まで公開。デッキからの展望は、当時の北運河で一番高い建物だったという。

 

 同倉庫は、各種保税空缶・缶詰類・一般貨物の保管を目的に、1923(大正12)年4月に着工。翌年10月31日に、鉄筋コンクリート造地上4階建・敷地面積約2,745.27㎡・建物全長約100m・最大幅約20mの倉庫が完成した。各階は5つの収納室に区分されている。

 

 荷物を合理的に運搬するために、螺旋状のスパイラルシュートを使って、運河に停泊中の艀に荷物を下ろした。

 

 

 柱にも特徴があり、1階の柱の幅は90cm、2階は81cm、4階は51cmと細くなっている。また、木杭詳細図が見つかり、各柱のコンクリート基礎は1辺3mの四角形で、その下に25本の木杭を58cm間隔で入れていることが分かった。

 

 参加者は、各階の柱の太さの違いを実感し、雨が両方に落ちるように工夫されたアーチ型の天井や、運河の地形に合わせた2階の壁のカーブなど、詳細な説明に耳を傾けていた。

 

 知られざる倉庫内部に50分ほど初侵入し、デッキからの眺望を楽しみ有意義な時間を過ごした。

 

 14:00から、市民センター(色内2)マリンホールに会場を移し、オープン勉強会が実施された。歴史的・建築的側面から見た第3倉庫について、北海道職業能力開発大学校特別顧問の駒木定正氏による講演と、参加者を交えての意見交換会が行われ、今後についてのアイディアを模索した。

 

 沢山の観光客に同倉庫を案内してきたおたる案内人の阿部英一さんは、初めて内部を見学し、「大正時代にこれだけの建物を建てた小樽の経済力に、改めて感動した。今の倉庫と違い、柱が多く支えている当時の作り方を知った。

 

 このままの姿を残すだけではなく、活用して小樽の財産として、人を呼べる施設になってもらいたい」と、保存に期待した。

 

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