祝津に春到来! 小樽市鰊御殿営業開始

 株式会社小樽水族館公社(祝津3)が運営する、にしん漁場建築北海道指定有形文化財の小樽市鰊御殿が、4月3日(土)から今シーズンの営業を始めた。

 

 新型コロナウイルス感染症拡大防止の換気や消毒等の対策を徹底し、例年通りに営業を開始したが、当時の雰囲気を味わう半纏や着物の着付けは、昨年から中止している。

 

 この建物は、1897(明治30)年に、鰊漁で栄華を極めた田中家初代当主の田中福松が、西積丹の泊村に建てた御殿を、1958(昭和33)年に1ヶ月がかりで解体し、トラック50台で現在の位置に移築した。

 

 一部2階建ての総面積は611.9㎡もあり、明治時代の原形をとどめ、現存する建物の中で大規模。東北地方の切妻造の民家様式で、貴重な漁場建築を残している。

 

 全盛期には、漁期に120人ほどの漁夫が寝泊りし、それ以外でも越年仕事のため30人は常駐していたという。タモ・セン・トドマツ等の遺産原木や、東北地方から取り寄せたヒノキ等約3,000石(540t)が使用されている。

 

 1960(昭和35)年5月31日、北海道有形文化財・にしん漁場建築として、道の民家としては初めて文化財に指定されている。

 

 曹洞宗龍泉寺(祝津)で見つかった漁場場実測図(複製)を、今シーズンから展示している。

 

 祝津海岸の広範囲に渡り仕掛けた網を記録したもので、実測図と併せて海岸の写真や、当時の鰊漁の写真も展示。豊漁だった鰊漁の当時の様子を伺い知ることができる。

 

 また、玄関正面には、安政から明治にかけて東北地方と蝦夷地の間の物資回艚のために使用した、150石積みの帆船の弁財船漁徳丸(模型)が来館者を出迎えている。

 

 茶の間の囲炉裏や壁に飾られているのは、鰊漁で使われた道具や生活道具、2階には隠れ部屋があり、絶景を楽しめ、若い人にも人気のスポットとなっている。

 

 開館に先立ち、8:45からオープンに伴う式典を開いて安全を祈願。5名の職員が2名ずつ常駐し、希望があれば館内の案内や質問に対応してくれる。

 

 4月3日(土)~10月15日(金)9:00〜17:00、10月16日(土)~11月23日(火・祝日)9:00〜16:00 無休

 入館料:一般300円、高校生・市内在住の70歳以上150円、小中学生無料

 

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