小樽美術館特別展開幕 コラボイベント限定開催

 市立小樽美術館(色内1)の特別展、舞踏と美術―田仲ハルと舞踏に魅せられた美術家たち<小樽晩夏光>が、8月21日(土)に開幕したが、小樽市が、新型コロナウイルス感染症拡大により、まん延防止等重点措置区域となったため、市有施設は休館を余儀なくされ、オープニングはイベントに申し込んだ人のみ観覧となった。

 

 40年ほどの前、舞踏の地方活動の先駆けとなった「小樽海猫屋」を舞台に繰り広げた北方舞踏派は、舞踏の似合う小樽に根づき開花した。

 

 17歳の頃、旅の途中で出会った北方舞踏派をきっかけに舞踏の世界へ入っ
た田仲氏は、小樽で再燃させようと活動を始め、当時の芸術家たちが舞踏に引き付けられたように、数々のアーティストを引き寄せてきた。

 

 今回の特別展では、選りすぐりの小樽ゆかりの現代美術家5名と、同館特別展で共演を実現させ、再び小樽の町から、舞踏が再燃し始めているその気配を、この企画展で感じてもらいたいと語った。

 

 これまで自身の公演会チラシのデザインを手がけている同氏も、莫大にある中から一部ではあるがグラフィックデザイン作品を出展し、同館開館40周年記念アートイベント旧寿原邸での舞踏公演「あずきの家」と、同館で行われた北海道舞踏フェスティバル2020「色内紀」の映像も放映している。

 

 他5名の出展者、舞踏に魅力を感じ同氏公演の舞台美術を手掛ける上嶋秀俊氏は、インスタレーション作品「むこうから」と「いのちのかけら」。

 

 ドローイングのAkiYo氏は、2015(平成27)年に同氏にクロッキー会場で出会い、舞踏家を描く会を主催しながら、同氏の舞踏の世界をモノクロで表現。

 

 これまで3,000点を超える作品を描き、木炭やチョーク・黒パステル等を用いて、単色でのドローリングを続けている。今回は、1週間前に完成した作品も初公開され、どの作品も同氏の躍動感溢れる姿が滲み出ている。

 

 

 同氏とパフォーマンス共演したベトナム出身のダム・ダン・ライ氏は、流木
や積雪の圧力で曲がった木を素材に作品を手掛け、今年の新作「行ってきます」や「BLOSSOM」を出展。

 

 彫刻の福江悦子氏は、「舞踏の緩急静と動の間にある何か」に興味を抱き、同氏の肖像や身体をモチーフに制作を続け、同氏と共演による写真集も発表。ミズナラで作った肖像「shadow」など印象深い作品が並ぶ。

 

 特別展のオープニングを飾るファンションショーの仕掛け人、ファッションデザイナーの石岡美久氏は、この日のために1年前から、舞踏とファッションが結びついた新たな世界を創造し続け、同氏が着用するイメージで制作した衣装など7点と学生時代の作品など3点を展示。

 

 18:00からは、事前予約した42名が、田仲氏と同氏に師事する明夜さん・フランス生まれのSyv Bruzeauさん・舞道場渦UZUSEN代表のYohinori Kikuzawaさんら舞踏家がモデルを務めKIM YOOI氏が音楽を担当した、新しいスタイルのファッションショーを体験。

 

 出演者4名が、エレベーターや階段から衣装を纏って登場し、様々な音楽に合わせて舞踏と衣装の新しいスタイルのパフォーマンスを披露した。

 

 田仲氏は、「美術館でやることが重要で、小樽特有のレトロな建物で、非日常的なダンサーが非日常的な衣装で踊る例のない企画。建築物とのコラボレーションは、小樽でしかできない。

 

 舞踏とファッションは密接な関係であっても、これまであまりフューチャーされてこなかった。美術館の構造の面白さと立体的に見せるところが見所だ」と語り、石岡氏は、「舞踏と小樽の深い歴史を聞き、舞踏はどの時代にも適応できると感じた。

 

 いつものファッションショーは、見せるため・伝えるためにしているが、舞踏と交わることで、お客さんがコンセプトを考えてくれるようなパフォーマンスとなり、これまでのコラボとも違い、完全に舞踏とファッションショーが融合して、何かの形が生まれるスタート地点だ。

 

 

 この建物の内装や雰囲気や古き良きものを感じ、いろいろな歴史が感じられる空間。美術館でショーをすることは、夢のまた夢のようなことで、今回初めてそれが叶った」と話した。

 

 まん延防止等措置地域のため、市有施設は9月12日(日)まで休館中で、関連
事業実施時のみ事前予約した人だけが観覧でき、初日のファッションショーの様子は、後日動画で配信する予定。

 

 9月5日(日)14:00~15:00アーティストトーク 予約枠あり
 9月23日(木・祝)18:00~19:00舞踏公演「小樽晩夏光」 予約枠あり

 舞踊と美術―田仲ハルと舞踏に魅せられた美術家たち<小樽晩夏光>
 8月21日(土)~9月23日(木・祝) 市立小樽美術館(色内1)
 入館料:一般700円、高校生・市内70歳以上350円、中学生以下無料

 

 ◎特別展舞踏と美術―田仲ハルと舞踏に魅せられた美術家たち<小樽晩夏光>(外部)

 ◎関連記事