小樽市総合防災訓練 初の災害対策本部設置

 

 

 小樽市(迫俊哉市長)では、9月1日の防災の日にあわせ13:20~16:00に、市防災会議主催の2021(令和3)年度小樽市総合防災訓練を実施した。

 

 今年度は新型コロナウイルス感染症対策を徹底し、恒例の勝納ふ頭2番での実働訓練に、消防庁舎6階講堂の災害対策本部訓練を新たに連動させて実施。

 

 この訓練では、大規模災害に対する各関係機関相互の協力体制の強化と、防災技術の向上及び市民の防災意識の高揚と防災知識の普及を図ることが目的で、北海道開発局小樽開発建設部・小樽海上保安部・陸上自衛隊第特科隊など、15機関約270名・車両43台・船舶9隻が参加。

 

 9月1日(水)10:50、北海道留萌沖を震源とするマグニチュード7.8、小樽市沿岸部で6強の地震が発生。津波警報を10:52に発令。第1波は11:13に市沿岸部で3mを確認したとの想定で訓練が始まった。

 

 災害対策本部訓練では、迫市長を本部長に、副本部長は小山秀昭副市長、総括部長に総務部長、財政対策部長の財政部長ら16名の各部の部長(班長)と、各訓練参加機関関係者が参加した。

 

 市の地図を中心に設置し、実働訓練映像を放映する天井スクリーンと55型のモニターで、消防本部高所監視カメラ・天狗山ロープウエイ山頂・小樽開発建設部広域監視カメラ・潮見台庁舎鉄塔(防災情報共有WAN回線)からの様子や時系列記録を掲示した。

 

 冒頭、迫本部長は、「多くの職員が災害対応にあたる必要がある中、訓練にこれらの職員が参加していなかった現状を受けて、実際に災害対策本部を立ち上げ、模擬的ではあるが、より実行的な形で防災訓練を進めていきたい」と挨拶。各部から想定した被害状況の報告を受けた。

 

 日本海側沿岸北部において、津波警報発令したことから、小樽開発建設部により、国道5号の余市栄町から塩谷2丁目までを通行止め。防災ヘリによる状況調査を要請。

 

 高速道路は札幌-小樽間、後志自動車道も通行止めにし、市営住宅の建物に亀裂、42人が避難。市内全域の停電。津波によるガス漏れに対応するため、海岸部800件にガス供給停止などの報告があった。

 

 避難指示広報訓練では、小樽港で複数の海上漂流者を発見し、小樽海上保安部から消防本部へ水難救援隊の出動要請があったので、関係機関と連携して対応すると報告。

 

 迫本部長は、人命救助を最優先した対応と被災状況を早めに把握するよう呼びかけた。

 

 勝納ふ頭の会場を4つに分け実働訓練を実施。土砂災害関係機関合同訓練や海上漂流者救助訓練、応急復旧送電、災害派遣医療チーム(DMAT)による重症患者の応急手当と搬送、日赤による怪我人への応急手当、港湾流出油防除、断水による応急給水、ガス漏れ事故応急対策、船舶火災による救助と消火訓練で6口から一斉放水し、訓練を締めくくった。

 

 その後、対策本部では意見交換会が開かれ、「各機関と顔を合わせて役割を確認でき良かった」、「現場と指揮がリアルタイムに繋がった」、「例年訓練には参加しているが、対策本部訓練も行われ、同時に進行した訓練で、初めて見えなかったものが見えた」などの意見があった。

 

 訓練を終えた迫市長は、「模擬対策本部を設置し、実働訓練と連動して次々と起こる被災事業に対し、対応を判断して指示をする訓練を初めて実施した。

 

 今回の訓練で見えた課題を今後検証し、さらに職員の当事者意識、実効性を高めるなど、訓練を積み重ねることが必要不可欠であり、市民の皆さんの命、生活を守ることに繋がると思う」と述べた。

 

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