生誕120年小熊秀雄展と小樽雑誌博覧会開催中

 詩人・小熊秀雄が小樽で生誕して120年目の記念と、妻つね子さんの声が録音されたテープが発見されたことを受け、市立小樽文学館(色内1)で、小熊秀雄展が1月30日(日)まで開かれ、作品と共に同氏の生涯を紹介している。

 

 詩人の他、小説や漫画・画家でもあった同氏は、1901(明治34)年に現在の文学館にほど近い稲穂町に生まれ、旭川新聞の記者をしながら童話や詩を書き、1928(昭和3)年に妻子と上京。プロレタリア詩人会に入り、次々と作品を発表したが、39歳の若さで亡くなった。

 

 今回、旭川市中央図書館と旭川文学資料館の協力を得て、原稿や素描・水彩画遺品と、同館職員の田中眞里さんが制作した、同氏が住んだ長崎町のアトリエ付きの小さな貸屋「アトリエ村」の模型も展示されている。

 

 伊藤あや学芸員は、「同氏は、自由の大切さなど、訴えたいことをきちんと表現できる人。120年前に生まれた詩人の生涯を振り返る展示となり、日常から離れて詩人の世界に浸りに来てもらいたい」と話している。

 

 1月15日(土)14:00~15:00、関連事業「詩人・小熊秀雄の妻つね子さんの声を聴く会」を開催。つね子さんが亡くなる前に、病床で語り尽くした詩人とひとり息子の物語で、本邦初公開の2時間近くに及ぶ録音テープの一部を聴く会を設けた。解説:平山秀朋さん・聞き手:玉川薫さん。事前予約が必要で、市立小樽文学館(0134-32-2388)まで。

 

 同会場では、市立小樽図書館から週間誌資料の移管を受け、小樽雑誌博覧会大週刊誌展(1955-1975)を同時開催している。

 

 1955(昭和30)〜1975(昭和55)年の週間誌約300冊を展示し、それぞれの時代に起きた記憶に残る事件や事故の裏側、表紙を飾るスターや裏表紙の広告など、当時の世相を色濃く反映している週間誌から当時の日本を振り返る。

 

 新聞社から発刊している週間誌しかなかった1956(昭和31)年に、出版社から週刊新潮を創刊し、週間誌界に大きな転機をもたらせた。同週間誌の成功により、ほかの出版社からも相次いで創刊された。

 

 会場の壁を使って、社会の出来事と照らし合わせ、週間誌の創刊などについて年表形式で分かりやすく展示。理容室を再現し、週間誌を手にとって読めるコーナーも設けた。

 

 新潮社に関わっていた大物の齋藤十一さんは、忍路郡塩谷村(現小樽市)生まれ。出版社の依頼で週間誌の記事を書くライターのトップ屋も紹介し、多くの人々が興味を持つ内容が掲載されている。

 

 当時トップ屋が特集した記事は、丁寧に取材しいかに読んでもらうか内容を重視していたが、その後、ネタ重視に移行していったという。

 

 伊藤学芸員は、「1955年~1975年の日本を色濃く反映している雑誌資料を広く展示し、当時の戦後の日本が一望できる。会場で楽しんでいただきたい」と話した。

 

 1月23日(日)14:00~15:00に、関連事業「なつかしの雑誌めぐり」を開催。
語り手:鈴木浩一図書館長・聞き手:伊藤あや学芸員。事前予約が必要で、市立小樽文学館(0134-32-2388)まで。

 

 ◎市立小樽文学館〜企画展・特別展(外部)