エゾサンショウウオ保全プロジェクト講演会

 北海道サンショウウオ保全プロジェクト(高橋匠美代表)は、3月26日(土)15:15からJ-DANCE〜TAQMI〜花園ダンススタジオ(花園2)で、前田一歩園財団助成事業「自然の神秘エゾサンショウウオの繁殖と産卵」と題して、トークショーと映像上映会を実施した。

 

 第1部は、幼形成熟のエゾサンショウウオを89年ぶりに発見した、北海道大学苫小牧研究林研究員の岡宮久規氏を講師に招き、興味を持つ市民ら20名が熱心に聴講した。

 

 同氏は東京都杉並区育ちで、中学で生物部に所属し両生類の面白さを知り、東京都立大学に進んだ両生類の研究者。

 

 2020(令和2)年12月と2021(令和3)年春に、北海道胆振地方の池で、幼生の特徴を持ったまま生殖機能を備えた幼形成熟のエゾサンショウウオを見つけた。

 

 緑地が著しく分断された環境でのカエルやサンショウウオの影響や地球温暖化による影響、外来ヒキガエルの影響など、人の手が加わった場所で生きる両生類の影響等について研究成果を交えて語った。

 

 地球温暖化により、桜の開花など生物の季節の早期化となり、両生類の繁殖開始日も早くなっていると言い、トウキョウサンショウウオは1月以上も早まっていることが分かり、分布全域で体サイズと卵数の増加が見られた。

 

 人間活動は、生息地の分断・地球温暖化・外来種の導入など、さまざまな形で両生類の暮らしに影響を与えており、私たち1人1人が、少しでも影響を少なくする努力が大切だと訴えた。

 

 後半は、全道に分布し、体長は15cm・寿命は10年以上、環境に合わせた柔軟な生き方をしているという、エゾサンショウウオの幼形成熟の説明と再発見について語った。

 

 幼生の形で生殖機能を備えた幼生成熟のエゾサンショウウオが、1924(大正13)年、北大の佐々木望教授により倶多楽湖で捕えられ、論文に残すも同氏が3年後に死亡。1932(昭和7)年に牧野佐次郎博士により2個体の捕獲が最後となる。

 

 確実な幼形成熟は約90年確認されていなかったが、岡宮氏により見つけられた2個体にエラや発達した尾びれがあり、成熟していて人工授精を試み成功。淡水魚水族館のアクア・トト岐阜で飼育観察中だという。

 

 同氏は、「これまでどう進化してきたのか、道内中を調査し研究しているところで、市民の関心と記憶の衰退により、種の絶滅は加速する。生き物の存在を知ってもらうことは大切」と締めくくった。

 

 同プロジェクト高橋代表と、同氏によるトークセッションが行われ、2021(令和3)年春に、エゾサンショウウオの繁殖と産卵する様子の映像の撮影に成功したが、卵の成長を見とどけようとした矢先、卵が消える事態に陥ってしまった。

 

 その映像を鑑賞した同氏は、「こんなに沢山いるところを見たのは初めて。自然の豊かなところだが、エゾサンショウウオの希少性の認識が薄く、保全組織が少ない」と話し、高橋代表は、「積極的に活動をして守っていきたい」と述べた。

 

 エゾサンショウウオの研究を続ける小樽商科大学の片山昇准教授は、同プロジェクト主催のパネル展にも協力し、「生息場所は、貴重な場所であることの配慮も必要で、行政との交渉も大切。人間の行動で絶滅させてはいけない」と話した。

 

 なお、4月3日(日)〜17日(日)は、ウイングベイ小樽(築港11)でパネル展の開催を予定している。

 

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