小樽図書館の図鑑 北海道の鉄道あれこれ講演会

 市立小樽図書館(花園5・鈴木浩一館長)では、市民の中で研究したり、コレクションしている人の発表の場を作ろうと、“図書館の図鑑”と題して紹介している。

 

 第3巻目として、フリーライター・渡辺真吾さんのコレクションを紹介する「北海道の鉄道」が、2月5日(土)〜27日(日)で展示され、併せて予定されていた講演会「北海道の鉄道あれこれ」が、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で延期となっていた。

 

 4月10日(日)13:30〜15:30に同館視聴覚室で、改めて講演会が開かれ、鉄道に興味を持つ12名が参加した。

 

 東京生まれの同氏は、小学生の頃鉄道に興味を持ち、北海道大学文学部卒業後、博物館関係の仕事に就く。小樽の歴史や文化などの研究を続け、著書に「明治・大正、小樽のできごと新聞記事拾い読み」などがある。

 

 会場には、2009(平成21)年〜2013(平成25)年の雑誌「鉄道で旅する北海道」に掲載された、同氏の記事と写真も展示し紹介。

 

 「国鉄末期の北海道」について話が始まり、北海道大学時代は鉄道研究会の会長を務めるほどの研究者であることから、ここでしか聞けない貴重な話が語られた。

 

 1981(昭和63)年度の北海道内の駅で、乗客数が0か3人以下は24もあり、函館本線では乗客1人の駅は、その後ほとんどが路線廃止と共に廃駅となったことや、北海道専用車両の開発が進み、キハ183系は、初の北海道向け特急型気動車183系の発展型だったことなどが説明された。

 

 古い新聞記事から、銭函から南小樽までは海岸線に線路が敷かれ、小樽から蘭島、忍路方面は、なぜ山間部に線路が敷いてあるのかについて、小樽郡の漁業者が鉄道の汽笛や振動により鰊が逃げたと、線路の建設を内陸側に変更させたエピソードを紹介した。

 

 講演後、鈴木館長による、小樽や銭函・上砂川・夕張駅などが撮影されている映画が紹介され、最高視聴率56%を誇る1967(昭和42)年から放送されたNHK朝の連続テレビ小説「旅路」や、1970(昭和45)年上映の「男はつらいよ望郷編」など、懐かしい当時の駅や蒸気機関車などの映像を楽しんだ。

 

 国鉄時代に勤めていた男性は、「とても懐かしい話が聴けた」と喜んでいた。

 

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