工藤理事長講演会 「児童文学ファンタジー大賞の歩み」開催

 特定非営利活動法人絵本・児童文学研究センター(工藤左千夫理事長)の協力で、4月23日(土)から市立小樽図書館(花園5・鈴木浩一館長)で、資料展示会「児童文学ファンタジー大賞の歩み」が始まった。

 

 開催を記念して13:30からセレモニーが児童室で開かれ、工藤理事長と対談予定だった、各受賞者に贈られる正賞版画「冬の空」の作者である版画家の手島圭三郎氏(江別市在住)が体調不良で来館できず、同氏からの手紙が読み上げられた。

 

 迫俊哉市長は、「今年の28回で、児童文学ファンタジー大賞は幕を閉じるが、素晴らしい児童文学を生み出した功績は、長く人々の心に残り続けると思う。この展示会で皆さんとともに、児童文学ファンタジー大賞が残した足跡を振り返りたい」と挨拶。

 

 工藤理事長は、「手島氏の正賞版画は同センターにいただいた新作。100枚刷れるが販売ができない。これを持っているのは、大賞を受賞した第1回の梨木果歩さんと第3回の伊藤遊さんのだけで、なぜこれだけファンタジー大賞が厳しいかについては、出ないことに誇りを持ってほしいとの言葉からだった」と明かした。

 

 14:00から、研修室で工藤理事長による講演会が開かれた。

 

 工藤氏は1951(昭和26)年旭川市生まれ。1989(平成元)年小樽に絵本・児童文学研究センターを開設。大人のための児童文学講座を開講。1994(平成6)年に、文化向上の一助になればと同賞を創設した。2021(令和3)年度文化庁長官表彰を受賞。

 

 ファンタジーを重視した理由や、通常、主催者が優先的に出版する入賞作品の著作権を拘束しない賞としたことなど、ファンタジー大賞の経緯を語り、これまでの2つの大賞について振り返った。

 

 手島氏とは31年に付き合いがあり、“手島ブラック”の魅力について語り、冬の空の正賞版画を無料提供されていることを説明。

 

 一定程度の役割を果たし、体力もなくなり選考委員を簡単に変える訳にはいかないことを理由として、28回目を最後にファンタージ―大賞を止めることにした。

 

 大賞最後の作品は、昨年11月に募集を開始し今年3月末で締切った。4月予備選考・5月2次選考・7月3次選考・9月最終選考・11月受賞式という流れで、今年は287点の応募があり、これまでの最多の応募となった。

 

 「1作だけ良いのがあればよい。大賞があるかどうかはこれからの選考による。最後だから手島先生の冬の空を何とか差し上げたい」と、期待を寄せている。

 

 資料展示会「児童文学ファンタージ―大賞の歩み」
 4月23日(土)~5月26日(木)

 

 ◎児童文学研究センター(外部)

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