企画展“小樽・抽象のPIONEER” 地域の美術に多大な影響

 市立小樽美術館(色内1)では、5月3日(火)〜15日(日)、収蔵品によるギャラリー企画展「小樽・抽象画のPIONEER」を1階多目的・市民ギャラリーで開催している。

 

 小樽市展・小樽美術協会展・道展などの地元展覧会をリードし、戦後まもなく抽象絵画に取り組み、地域の美術に大きな影響を与えた、市内在住の抽象画家6名の作品を紹介。

 

 戦後、札幌で開かれた「サロン・ド・メ」(1952年)をきっかけに、抽象表現主義や、北海道にアンフォルメルが浸透し抽象の流れに身を投じた最初の1人・小松清や、絵画集団「火」の仲間・宮川魏、戦後すぐに再建道展で会員となり1950年代半ばから抽象画を描き始めた若松六弥、道展会員で小樽の美術振興に尽力した髙橋好子や、コラージュやデカルコマニーに挑む千葉豪、同氏とともに本格的に抽象画家として歩んだ藤巻陽一、6名の大作ばかり21点を一同に展示している。

 

 小松氏は、フランスの絵画を学び、日本人にしか描けない抽象画を探りたいと、扇や亀甲などを日本古来の色合いを組み合わせ表現。跡や灼、帳、築、穹(たそがれる)、おとずれなど9点を展示。額にもこだわりがあり、中でも“おとずれ”は、ミラーを貼るなど手作りによる工夫が見られ、来館者を抽象画の世界へ誘っている。

 

 高橋氏は、当初は人物画だったが抽象画へと移っていき、無彩色で色をほとんど使わず体の動きを活かした作品や、同じ空でも有彩色で表現した作品がある。

 

 手書き紋章上絵師で知られる千葉氏は、市展委員長を5期も務めた画家で、コラージュ作品「白い記憶」と勾玉模様「生態」の2点を紹介している。

 

 星田七重学芸員は、「市民ギャラリーを活用して、同館の収蔵品を展示した。気軽に立ち寄って観ていただきたい」と話している。

 

 小樽・抽象のPIONEER 5月3日(火)〜15日(日)10:00〜17:00(最終日16:00)
 市立小樽美術館(色内1)1階多目的・市民ギャラリー
 5月6日・9日〜12日休館、入場無料

 

 また、同館では初企画の特別展「画家と娘—岸田劉生<麗子>とともに」(7/16〜9/19)開催を記念し、5月3日(火)から開催前日の7月15日(金)まで、一般(900円)と市内70歳以上・高校生(450円)の共に100枚限定で前売券販売キャンペーンを開催中で、チケットのナンバリングから当選者を決定する。

 

 1等は同館協力会メンバーズカード(3,000円相当)を3名に、2等は図録「岸田劉生の軌跡」(2,200円相当)を3名に、3等は次回特別展「風景画家-冨澤謙の眼と心」引換券(1回700円相当)を10名に贈呈する。

 

 当選発表は7月16日(土)の展覧会初日で、当館受付とHPで当選番号を掲示し、当選者には来館時に景品を渡す。

 

 前売券取扱いは、石井ガクブチ展(花園1)・岩永時計店(稲穂2)・宮井額縁店(花園1)・北海道画廊(札幌市中央区)・市立小樽美術館(色内1)。