小樽市民セミナー“巨大風力発電が身近に造られる!”開催

 小樽・余市の巨大風力発電から自然と生活を守る会(平山秀朋代表)・地域の風力発電を考える会が主催し、市民セミナー「巨大風力発電が身近に造られる!」が、2月26日(日)13:30から小樽市民センター(色内2)マリンホールで開かれ、風力発電建設に何かしらの危機感を持つ約80人が出席し風力発電について学んだ。

 

 東京の大手・商社双日株式会社は、小樽・余市・毛無山などを含む国有林に、高さ最大200mもの風車27基を建てる風力発電所を、2024(令和6)年に着工し、2029(令和11)年に運転開始する計画がある。

 

 現在、健康アセスメントの準備書が縦覧の段階で、これが住民の声を届ける最後の機会となる。

 

 また、このほかにも、古平・仁木・余市ウインドファーム64基、小樽・赤井川ウインドファーム22基、石狩湾で9つの洋上風力発電事業の約250基が計画されていることから、しっかりと風力発電に関して学ぶ機会を設けた。

 

 セミナー開催前に、泊原発の健康被害や環境被害について研究している斎藤さんによる紙芝居、風車の会有志で制作した「とらたろうの紙芝居」のスライドと銀山に住む87歳の女性の話「キニたちの未来」が上映された。

 

 元小樽保健所所長の秋野恵美子医師が、「低周波音被害と人体への影響」について、元北海道科学技術大学非常勤講師の堀岡和晃氏が、「巨大風車建設の環境への危惧」と題して講演会も実施された。

 

 平山代表は、「私たちの会は、双日という大手の商社が計画する大きな風力発電の撤回と中止を求めている。計画を発表された地域の方々が、立ち上がり会をつくり、勇気をいただいている。セミナーは、様々な情報・経験や知見が共有され、活動を続ける中でヒントや力になれば嬉しく思う」と挨拶した。

 

 秋野氏は、初めて超低周波音公害について発表した汐見文隆氏(1924-2016)の著書「低周波音被害を追って」を読み、風力発電施設からの低周波音による健康被害について語った。

 

 低周波音とは、耳には聞こえない音の一種で、騒音被害とは違い、個人差があり、半年前後の潜伏期間がある。めまいや不眠・頭痛・吐き気・憂鬱な気分が取れないなどの症状があり、その場所での症状で、病院での検査では異常が見られない。

 

 小樽は風の強さが風力発電に向いていないことも分かり、風の穏やかな小樽には不適合な事業であると強調した。

 

 次に、風車建造の環境への危惧について、土木専門家の堀岡氏は、「桃内川流域の山は土砂災害特別警戒区域のため、今回の風力発電施設計画の場所は、地すべり地形に示される場所に作られ、人為的に土石流を引き起こす危険があり、わざわざ危険な場所に建設するのか?自然林に建設用道路を作り、雨が降ると、一気に流れてくる原因にもなり、かなりの地形が変化する」と指摘した。

 

 秋野氏が指摘した風についても、6mの風では風力発電には効率が悪く、土砂崩れなどが起こった場合や工事中や完成後10年間に何かあった場合も、地主が自己負担による責任をとるなど、借りて有利の賃貸計画にも注意が必要だとした。

 

 最後に、堀岡氏は、「急いで、この山にこれだけのものをバタバタ建設する必要はない。電力供給の考え方は他にもある」と厳しく指摘した。

 

 質疑応答のコーナーでは、動物への低周波音への影響はあるか?、残土はどうするのか?、ヒ素についてなどについて質問があった。

 

 10年前から活動している石狩湾における洋上風力発電を考える会では、「3年前に10基、春から14基建設予定で、さらに石狩湾に250基の巨大風車建設の計画があり、目の前で行われないよう行動したい」と述べた。

 

 事務局からは、現在、仮称北海道小樽余市風力発電所に建設に関して、住民が意見をする最後の時で環境影響評価準備書の提出を求め、意見書記入用紙も配布され、縦覧場所に設置した意見書箱に投函するよう呼びかけた。3月16日(木)まで。

 

 同会では、今後、4月30日(日)に小樽塩谷丸山登山(現地説明会)、6月18日(日)12:00〜17:00に小樽市民センター(色内2)マリンホールで、後志・石狩湾「巨大風力発電反対集会」、6月20日(火)12:00から札幌双日支社前デモ行進を行う予定。

 

 ◎小樽余市の巨大風力発電から自然と生活を守る会(外部)

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