ナンシー梅木と仲間たち 小樽図書館・鈴木館長ラスト講演

 市立小樽図書館(花園5・鈴木浩一館長)では、小樽出身のジャスシンガーで女優のナンシー梅木の特集第2弾、ミュージックプロムナード増刊号「ナンシー梅木と仲間たち」を、昨年10月発足のナンシー梅木の会メンバーや事前に予約を済ませた市民26名が参加し、3月26日(日)13:30から同館2階視聴覚室で開催した。

 

 小樽出身でこんなに有名だった人がいたことを多くの人に知ってもらいたいとの鈴木館長の強い思いから開催。同館長は、3月末で7年間務めた館長を降りることになり、同館で最後の講演となった。

 

 ナンシー梅木(本名:梅木美代志)は、梅木鉄工所の9人兄妹の末っ子として1929(昭和4)年小樽市に生まれ、高校卒業まで小樽に暮らし、毛利病院長夫人の毛利昭子さんから英語を学び、米軍の通訳をしていた兄の関係で、小樽の米軍専用ナイトクラブで歌う。1948(昭和23)年に上京し、ジャズ歌手として活躍後、1955(昭和30)年に渡米し、映
画・テレビで人気者となる。

 

 1958(昭和33)年3月26日、29歳の時にハリウッドで開かれたアカデミー賞受賞式で、アジアで初の助演女優賞を受賞した。

 

 会場では、ナンシー梅木の経歴が紹介され、入手した映像では、1962(昭和37)年10月33歳の時に、TV番組のアンディ・ウィリアムスショーでの掛け合いシーンや、テレビ映画「ローハイド」でクリント・イーストウッドとの共演映像、日本語を交えて歌うナンシー、笑顔で喜ぶ姿を捉えている映画「サヨナラ」でアカデミー賞助演女優賞受賞の映像など、改めて同氏の活躍を知る機会となった。

 

 “ナンシー梅木と仲間たち”のタイトルから、青春ジャズ娘のシーンでは、江利チエミが歌う映像や雪村いづみ、ペギー葉山らの若かりし日の華やかな歌声を聞いた。

 

 鈴木館長が東京の雑誌専門図書館大宅壮一文庫で入手した1957(昭和32)年8月号のミュージックライフの大橋巨泉の「人気歌手への公開状」で、同氏について書かれた貴重な資料やレコードジャケットのコピー、国際英文週間ニュース誌「TIME」の表紙なども展示された。

 

 ナンシー梅木の会の渡邊眞一郎氏は、「小樽にあまり資料がないので、情報をいろいろな形で探している。」と情報提供を求めた。

 

 参加した市内在住の男性は、「アジアで最初にアカデミー賞助演女優賞を受賞した、こんなにすごい人が小樽にいたのかと興味を持った。まだまだ知らない人も多いと思う。今日はとても楽しかった」と満足していた。

 

 鈴木館長は、「高校卒業後19歳で東京へ。26歳で渡米し、チャレンジ精神が凄く歌も上手い。ジャズ歌手のナンシー梅木の曲を聞いてほしい」と話した。

 

 鈴木館長の7年間は、読書の楽しさをもっと伝えようと、同市在住の絵本作家こぐれけいすけ氏と子どもたちと一緒に絵本を制作し、創造の場を広げたりいろいろな情報提供をする場として、おたる水族館や海上保安部とのコラボ、交通安全や特殊詐欺に関する展示、個人自ら研究したり調べたり、コレクションしたことを同館で紹介する「図書館の図鑑」など、これまでにない工夫した取り組みを行い、子どもから大人までが図書館に訪れる機会を作ってきた。

 

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