追憶の歌-日本画家福井爽人展開幕 小樽美術館

 日本美術院同人顧問の福井爽人氏の個展「追憶の歌」が、4月29日(土)に市立小樽美術館(色内1)2階企画展示室で開幕した。1994(平成6)年に同氏の最初の展覧会を開催し、今回29年ぶりの開催となる。

 

 2020(令和2)年に、同氏から小樽市に寄贈された春の院展・再興美術院展出展作5点をはじめ、同氏自らが選りすぐった2010(平成22)年以降の代表作や国内外の旅で描いたパステル・素描など48点を展示。繊細な筆使い・独特な色彩・詩情豊かな作品の魅力が堪能できる貴重な機会となっている。

 

 日本を代表する日本画家として活躍している同氏は、2歳の時に小樽市潮見台に移住。潮見台中学校時代には、北海道で指導者も少なかった当時、画集で日本画の世界に憧れ、国画会所属の版画家・河野薫氏の指導を受ける。

 

 1961(昭和36)年東京芸術大学美術学部日本画専攻に進み、同大学院修士課程終了後、芸大助手、1991(平成3)年日本画科教授、現在は名誉教授。

 

 学生の頃から、院展を中心に作品を発表。1969(昭和44)年に54回院展奨励賞を受賞し、その後、1981(昭和56)年まで7回に渡り同展奨励賞を受賞。1982(昭和57)年・1983(昭和58)年に日本美術院賞、1991(平成3)年内閣総理大臣賞、1993(平成5)年文部大臣賞と大きな賞を受賞。

 

 中国やインドを旅して取材を重ね、代表作が次々と生まれた。また、小樽に対する郷土愛は深いものがある。

 

 開幕前日の4月28日(金)14:00から会場で内覧会が開かれ、引き続き、同館1階ミーティングルームで、福井氏をはじめ、秋野治郎同館協力会会長、迫俊哉市長、林秀樹教育長ら17名が出席して開幕を祝った。

 

 迫市長は、「今も小樽を故郷として色あせることがないと聞いていて、私どもとしても光栄に感じている。今回の作品展は、想いのある小樽の地で、福井先生が選りすぐった近年の代表作を中心に、現在の画境の世界を展示し、福井先生の繊細な筆使いや詩情豊かな筆使いを堪能してもらいたい」と挨拶した。

 

 福井氏は、「29年ぶりの2回目の個展の開催となり、ご厚意はとてもありがたい。29年はあっという間だった。

 

 小樽を一言で言うと非常に好きな町。旭川・小樽・札幌・東京と移り住み、取材でいろいろな所へも行った。物心ついてから育った小樽には愛着がある。

 

 作品の中の美瑛の青い池を描いた“春影”は、随分長い時間をかけて写生した。青は好きな色。顔彩が好きで日本画に魅かれた。

 

 北海道の場合は、日本画に接する機会や仲間・先生と出会うのが難しい所で、時間がかかった」と話した。

 

 追憶の歌-日本画家・福井爽人展 4月29日(土)〜7月23日(日)9:30〜17:00

 市立小樽美術館(色内1)2階企画展示室

 7月17日除く月曜日・5月2日(火)・9日(火)〜11日(木)・7月18日(火)・19日(水)休館

 観覧料:一般700円、高校生・市内70歳以上350円、中学生以下無料

 

 関連事業

 〇ミュージアムコンサート 箏咲楽雅会アンサンブルSAKURA

 5月28日(日)14:00〜14:40

 〇福井氏と美術評論家奥岡茂雄による対談「福井爽人の芸術」

 6月10日(土)14:00〜15:30

 〇学芸員によるアートレクチャー

 7月1日(土)14:00〜14:40

 〇平間さと子ピアノコンサート

 7月1日(土)15:00〜15:40

 

 ◎追憶の歌-日本画家 福井爽人展(外部)