悲しい春から11年 小樽商大で飲酒事故追悼式

 

 

 国立大学法人北海道国立大学機構小樽商科大学(緑3・穴澤眞学長)では、飲酒事故で亡くなった学生を追悼する2023(令和5)年度追悼式を、5月8日(月)12:15から同大学体育館前で執り行った。

 

 痛ましい事故から11年目の春を迎えたが、遺族にとっては、今も変わらずつらい思いが続いている。

 

 誓いの碑の左右の花壇には色とりどりのパンジーが咲き、追悼式開始の時刻が近づくにつれ、学生がどこからともなく集まり、遺族・穴澤学長・和田健夫前学長ら教職員・学生・学校関係者ら約70名が出席した。

 

 穴澤学長は、「どれだけの月日が流れても、尊い命が亡くなったことは決して消えることはない。教職員と学生も決して忘れることはない。大学は、学生にとって安全安心な場所でなければならない。

 

 私たちは、飲酒事故を未然に防ぐことが出来なかったことを深く反省し、二度とこのような事故を起こさないことを強く誓い、毎年この時期に、誓いの碑の前で故人を追悼し、改めて全学年挙げて、飲酒事故防止に取り組む強い決意を心に刻む」と式辞を述べた。

 

 学生を代表して、山本佳賢学生自治会長(3年)は「飲酒事故から11年が経ち、あの事故で、青春を謳歌するはずだった大切な先輩を失った。それ以来、学生の間でも再発防止に努めてきた。悲しい事故が起きてしまったことを繰り返してはいけないことを、先輩から後輩へ今も語り継いでている。

 

 私たちは、このことを忘れずにこれからも戒めていく。今日この碑の前で、改めて飲酒事故再発防止に努めることを固く誓う」と約束した。

 

 その後、遺族・穴澤学長・山本自治会長の4名が献花し、全員で黙祷を捧げ、故人の冥福と飲酒事故の再発防止に努めることを心に誓った。

 

 式後、遺族は、「学生さんに気をつけてくださいと声を掛けた。自分たちは心配していなくても、飲酒事故がいつ起こる分からない。11年と言うが、これまで本当にきつかった。今も気持ちはあの時のまま。絶対に忘れることはできない」と話していた。

 

 2012(平成24)年5月7日に同大アメリカンフットボール部の部員が、大学内のグランドでバーベキューパーティを行った際、過度な飲酒による死亡事故が発生。

 

 新入部員だった1年生の男子学生(19)が死亡する事故が起き、部員50人を無期停学などの懲戒処分とし、同年7月に同部を廃部した。

 

 ◎国立大学法人北海道国立大学機構小樽商科大学(外部)

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