小樽美術館でジオラマ作品展 1940〜70年代アメリカを再現

 市立小樽美術館(色内1)1階市民ギャラリーを会場に、市内在住の吉岡正晴氏が丹精込めて作りためた、1940年〜1970年代のアメリカの日常をジオラマで再現した「鉄道模型ジオラマ作品展」を、5月24日(水)〜28日(日)に開催している。

 

 建築デザインを職業にしていた吉岡氏は、これまで4回ほど仕事で渡米し、そこで仕入れたジオラマキットを使って長年培った技術を活かし、線路の間隔が16.5mmで縮尺1/87に統一したアメリカ製のキットを組み立てて背景を手作りした作品や、写真から縮尺1/87に設計図を書いて手作りしたオリジナル作品など60点・アイテム数73点を初公開している。

 

 16歳の頃にジオラマと出会い、当時、花園商店街にあった帽子屋のショールームに、帽子とともに展示されていた鉄道のジオラマを見て強いあこがれと興味を持ち、店主から蒸気機関車の作り方を教わったのが始まり。

 

 それからコツコツと60年作り続け、作った車両は800両にも及び、自宅2階の6畳間はジオラマルームとなり、案内状のハガキの写真にあるようにひとつの町が完成している。

 

 アメリカでは、ジオラマ人口も多くキットなどの販売店も多いが、日本ではあまりジオラマを楽しむ人がなく、3年前まであった札幌のジオラマ販売店も閉店してしまった。

 

 これまでの入手ルート(ニューヨーク・フロリダ・サンフランシスコ等)を活用して、キットや部品・道具を手に入れ、模型制作を続けている。

 

 建物のみの組立てキットは、20年前で8万円と高額だったため、図面を書いて自作しようと考えた。素材は、紙や木・木の薄皮・石膏などを使った。

 

 20年前にアメリカから取り寄せた菓子工場のキットは、説明書が分かり辛く途中で挫折したが、今回の作品展に合わせて奮起一発し無事に完成させた。

 

 いかに綺麗に作れるかが醍醐味でもあり、今年2月に札幌の友人が途中で匙を投げた作品も完成させている。

 

 建物に合わせ背景も手作りで、自宅近所の赤土を漉してから、木工用ボンドを塗った上に茶漉しでまくと、本物そっくりの地面ができあがる。コンクリート地面は紙やすりを活用してそっくりに見せ、ジオラマの木々も自宅そばの小枝を集めたもの。完成までに小さなものは3ヶ月、大きなものは10ヶ月を要するという。

 

 吉岡氏は、3年前にステンドグラス作品展を同会場で実施しており、「この機会に、ぜひジオラマの作品を見てください」と来場を呼びかけている。

 

 会期中は在廊して質問にも対応しているので、ジオラマのさらなる世界を知るチャンスでもある

 

 鉄道模型ジオラマ作品展

 5月24日(水)〜28日(日)10:00〜17:00(最終日16:00)

 市立小樽美術館(色内1)1階市民ギャラリー 入場無料

 

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