第36期竜王戦第4局へ向け 藤井竜王と伊藤七段小樽入り

 今年36期を迎える将棋界の最高棋戦「竜王戦」の第4局が、11月10日(金)・11日(土)に小樽銀鱗荘を舞台に行われ、昨年竜王に初防衛し今期3連覇に挑む藤井聡太竜王(21)と、大熱戦の決勝トーナメントを勝ち抜き、挑戦権を手にした伊藤匠七段(21)が9日(木)小樽入りした。

 

 両棋士はスーツ姿で、観光名所の小樽運河浅草橋街園で報道陣の撮影に応じた。

 

 現在3局が終わり、藤井竜王が3連勝中で、タイトル3連覇と八冠統一後の初防衛に向け、意気込みについて、「明日が大きな一局になるとは思うが、意識せず普段通りに集中して臨みたい」と語り、「以前、家族旅行で小樽運河に来たことがあり、なつかしい」と小樽について述べた。

 

 現在、角番で非常に厳しい状況の伊藤七段は、第4局への意気込みについて、「これまで藤井竜王の強さを感じている。こういう素晴らしい舞台で一局でも多く対局できれば」と話し、小樽については、「初めてで、歓迎を受けて嬉しいと感じている」と述べた。

 

 18:00からは、小樽市民センター(色内2)マリンホールで前夜祭が開かれ、保持者・藤井聡太竜王と挑戦者・伊藤匠七段、平尾武史読売新聞北海道支社長・西尾明日本将棋連盟常務理事・似鳥昭雄ニトリホールディングス代表取締役会長兼CEO・迫俊哉実行委員長(市長)、立会人の渡辺明九段、新聞解説の広瀬章人八段、大盤解説の野月浩貴八段と聞き手の中村桃子女流二段が登壇し、将棋ファン200人が観覧した。

 

 主催者を代表して西尾常務理事は、「藤井さんの3連勝に、伊藤七段の巻き返しが注目の対局。6月から羽生会長の新体制となり、来年は将棋連盟100周年となる、より楽しんでもらいたい」と挨拶した。

 

 迫実行委員長は、「藤井八冠に挑む伊藤七段にも期待している。力を余すことなく発揮してもらいたい」と歓迎の言葉を述べた。

 

 4日(土)に小樽経済センターで開催された小樽市長杯小中学生将棋大会フリークラスで優勝した梅沢満喜さん(比布町立比布中央学校6年)と、第36回全国高等学校将棋竜王戦で優勝した齋藤駿汰さん(札幌南高校2年)が、あこがれの両棋士へ花束を贈呈した。

 

 対局者決意表明で、伊藤七段は、「銀鱗荘での対局で、今年の王位戦での評判を聞き、楽しみにしていた。訪れてみると対局室からの眺めも素晴らしく、とても良い状態で対局ができる。角番で厳しい状況ではあるが、素晴らしい舞台で1局でも多く続けたい」と話した。

 

 藤井竜王は、「小樽での対局は、7月の王位戦に続き2回目で、その時は北海道は涼しいと感じたが、今日は北海道の冬は寒いと感じている。銀鱗荘の対局室はとても良く、素晴らしい対局場。2日間に渡り長い対局が行われるが、しっかり考えて作り上げていく将棋ができればと思う」と答えた。

 

 渡辺九段は、「スコアが3対0で、藤井さんは先手、伊藤さんは後手番の方が勝率が高い。そんなに苦にしないタイプで、ここで意地を見せるつもりで乗り込んでいる。熱戦を期待する」と見どころ解説し、広瀬八段は、「伊藤さんと行動することが多いが、普段通りで虎視眈々と勝負に向けて準備している様子が伺えた。伊藤さんの戦いぶりや作戦も含めて期待したい」と述べた。

 

 野月八段は、「若い同世代の2人。将棋界の立場からは長くライバル関係で戦い、名勝負を展開してもらいたい。藤井さんは八冠でトップを独走。伊藤さんもどんなものを見せてくれるのか、竜王戦を通しての成長だったり、自信をつかむのか見せてもらいつつ、名勝負になることを期待する」と述べた。

 

 その後、オリジナルグッズが当たる抽選会が行われ、4名に両棋士直筆の色紙がプレゼントされた。

 

 11月10日・11日は、小樽芸術村・旧三井銀行小樽支店に小樽対局パブリックビューイングを設置し、9:00から対局終了までABEMA将棋チャンネルのライブ中継を流し、勝負めしやおやつメニューの展示、おやつメニューに載ったスイーツの無料配布を数量限定で、各日11:00・13:00・15:00の計6回(おやつコンテストで選ばれた6点・各30個)行う。10:30から同支店出入口横仮設テントで、整理券配布を予定している。

 

 ◎日本将棋連盟(外部)

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