藤井聡太竜王小樽で会見 “盤上没我”この感覚を大事に

 国の登録有形文化財の料亭湯宿・銀鱗荘(桜1)を舞台に、第36期竜王戦7番勝負第4局が、11月10日(金)・11日(土)で開催され、藤井聡太竜王が挑戦者で同学年の伊藤匠七段に勝利し、一夜明けた12日(日)9:00から、同荘大広間で記者会見が開かれた。

 

 スーツ姿で登場した藤井竜王は、小樽コンシェルジュの同氏と同学年の富樫凛子さんから花束を受け取り、「盤上没我」と書かれた色紙を見せ、カメラマンの要望に笑顔で対応した。八冠統一後のタイトル初防衛の自信を見せ、終始、穏やかな表情で記者からの質問に答えた。

 

 改めて今の心境について聞かれた竜王は、「一夜明けて、改めて防衛の喜びを感じているところと、一方で、第4局の中盤で適切な判断ができなかったところもあり、課題として今後取り組むところ」と振り返った。

 

 色紙に書かれた「盤上没我」について、今まであまり書かれていなかった言葉だと思
うが、その理由について「盤上で没頭して集中して考えると言う意味で、常に対局中にこの状態になれる訳ではないが、今回はその感覚になることもあったと感じた。今後もこの感覚を大事にしていけたらと選んだ」と述べた。

 

 この1年はどんな年だったか聞かれると、「タイトルに挑戦する機会をつくることができ、その中で結果を残すことができて良かった。

 

 対局の内容では、昨年よりも比較的早い段階から、定跡から外れる将棋が少し多くなっ
た。経験の少ない将棋に上手く対応していけるかどうか、これからのひとつの大きなテーマになる」と答えた。

 

 防衛のお祝いにどこに行っても良いと言われたら、どこに行きたいか聞かれ、「小樽から出ているフェリーの航路は分からないので、鉄道で函館本線の山線に乗る機会があれば」と、鉄道好きをアピールした。

 

 北海道を旅立つ前に食べたいものを聞かれ、「北海道は美味しい物が沢山あるが、ラーメンも有名で、こちらで食べたことがなかったので、どこかで食べることができればと思う」と述べ、2日目のおやつにお菓子のふじいの塩バター大福(倶知安町)を食べ、自分と同じ名前の店が作っていることで縁を感じ、見た目を美味しそうだったと選んだ理由を明かした。

 

 最後に「年内は公式戦が少なくなってしまうので、練習将棋や他の方法で補う必要があり、モチベーションをしっかり保って取り組めれば」と今後の抱負を語った。

 

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