小樽運河 絵画と100年の歩み in UNGA↑ギャラリー

 2023(令和5)年の今年、12月27日(水)に100年を迎える小樽運河の竣工100年記念
企画で、小樽運河保存運動の先駆者・藤森茂男氏(1936~1987)が描いた小樽運河の原画12点を展示する「小樽運河 絵画と100年の歩み」が、小樽百貨UNGA↑(色内2)2階ギャラリーを会場に、12月8日(金)~10日(日)で開かれている。

 

 同氏の娘でタウン誌月刊おたる編集長の藤森五月さんが選んだ、同誌バックナンバーの中から、小樽運河に関連した掲載記事約12点も展示。

 

 五月さんは、「父の絵と合わせ、月刊おたる掲載記事を読むと運河100年を知る
ことができる。いずれもほんの一端にすぎないが、小樽運河に思いを馳せていただければ」と来場を呼びかけている。

 

 小樽運河を守る会の初代事務局長を務め、商業デザイナーだった同氏が描いた小樽運河作品150点の中から、1985年代の当時の運河を感じる風景画を中心に展示。

 

 1983年(昭和58)年11月12日、小樽運河の埋め立て工事が着工し、水面への杭打ち作業が始まったその日1日で描き上げた代表作「赤い運河」も展示し、生前、作者自身が記した解説も紹介している。

 

 同氏の作品は、不透明水彩やコンテや木炭で縁取ったもの・彩色素描など、絵具の
素材も作風も様々で、藤森氏が見たありのままの運河を伝えようと描かれた作品で、同ギャラリーの窓越しに見える今の小樽運河と共に鑑賞できる。

 

 初日の会場で五月さんから、「父は、“運河はまちの宝だ”とチラシを書いて、たったひとりで運河でチラシを配っていた」と話を聞き、妻の茂子さんも幼かった五月さんも手伝ったこと、そこから仲間がどんどん増えていった流れを知った。

 

 運河を残そうと保存運動の中心となり活動していたが、経済圧力で辞めざるを得なくなり、第一線から手を引いた。会社も住む家も奪われ、3度の脳血栓で倒れても、リハビリしながら唸りながら絵を描き、絵を描くことしか残されていなかったという。

 

 運河を守る会の越崎宗一会長は、同誌で百何十回と連載を掲載。藤森氏と繋ぎ合わせたのは、同誌発行人の米谷祐司氏だったと五月さんは確信する。株式会社月刊おたるの立場からも、運河100年に合わせ“何かやらなくては”と使命を感じたという。

 

 運河保存論争を知らない世代も多いが、昔の事実を知ること・自分の住む町の正しい歴史を知ることも大事だと強調する。

 

 五月さんは、「父の絵は今から50年前に描かれたもの。運河を知るには100年前
のことから知らなければならない。月刊おたるは1974(昭和49)年創刊。それ以前のことなので、月刊おたる11月号(713号)と12月号(714号)で、小樽運河竣工100周年を特集し、運河100年の歩みを紹介した。

 

 父が運河を描いた目的は、自分が見ることもない未来の人々に、運河ってこういうところだと伝えるために描いた。運河に一番近いこのギャラリーに展示することで父も喜び、ご覧になる方々も気持ちを高めて観てもらえる。小樽運河百年の歩みの記事を読み、実際の小樽運河を見つめることができれば、それぞれの運河100年になるのでは」と話した。

 

 小樽運河竣工100年記念企画 小樽運河 絵画と100年の歩み

 小樽運河保存運動の先駆者・藤森茂男が描いた原画展

 12月8日(金)~10日(日)11:00~17:40

 小樽百貨UNGA↑(色内2) unga plus gallery 入場無料

 

 ◎小樽運河竣工100年記念企画 小樽運河絵画と100年の歩み 小樽運河保存運動の先駆者・藤森茂男が描いた原画展示(外部)

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