知られざる舞踏の世界 小樽で舞踏バー開催

 小樽在住の舞踏家・田仲ハル氏が、小樽商科大学4年の水煙草喫茶冬虫夏草(富岡1)佐藤リムオーナーと共に、2月10日(土)19:00から「暗黒舞踏バー」を開催。悪天候にも関わらず、舞踏に興味のある人や初めて舞踏を見る人など約50人が集まった。

 

 舞踏バーは、田仲氏が12年ほど前から札幌で不定期に始めた一夜限りのイベントで、舞踏を堅苦しく考えず、誰もが気軽に触れてほしいと企画したもの。

 

 田仲氏と佐藤氏の出会いから、「かつて小樽にあった舞踏を再考しよう」と、小樽ならではの舞踏バーを企画。

 

 会場には、70年代〜80年代にかけて活躍した地元小樽の舞踏団の貴重なポスターを展示。グラフィックデザイナーでもある田仲氏が手掛けたポスターもあり、舞踏家の写真集や資料を展示し、手に取って見ることもできた。

 

 イベントの最初には、昔の舞踏団の秘蔵映像を本邦初公開した。この映像は、舞踏団メンバーから授かった極秘映像で、これまで教材として以外は上映されなかった。昔の舞踏の様子が収められた衝撃的な映像が40分ほど上映され、休憩を挟み、飲み物を頼んだり、資料を見たり、舞踏に興味のある来場者同士が交流を深めるひと時にもなった。

 

 2017(平成29)年から田仲氏に師事している舞踏家でアーティストのAkiYo氏が舞踏のスタイルでウエイトレスも務め、田仲氏と踊り手と観客との距離が近いミニライブも開催した。

 

 田仲氏と佐藤氏の対談では、舞踏とは何か、何を見れば良いのか?普段聞けないみんなの疑問に、「楽しみ方は見たまま感じて良い。いろいろな感想があり、十人十色で見たままで良い」と回答。

 

 佐藤氏が、「肉体を使った表現で、実際に踊っている時の振付と、その意味が直接リンクしているのか」と質問すると、「適当に踊っているようでも、実は言語・詩で踊っている。体の動きが誘発される時は、言語があり、それを舞踏譜という」と説明し、舞踏譜の振付ノートも公開された。

 

 また、「即興で踊ることもあるが、群舞の場合はみんなで振付し、ソロの場合は即興もある。今日みたいなフランクな場合では、AkiYoさんとほぼ即興。人の動きが分かり呼吸感で踊る。初めての人とでも、呼吸感からまるで振付されたようにタイミングが合う。

 

 横にいる人の動きは、横目と舞踏同士のテレパシーで読める。AkiYoさんとは、7年一緒に踊るうちに、お互いに動きが分かってくる」と話し、来場者からの質問にも即答し、舞踏の面白さや楽しみ方を改めて知る機会となった。

 

 京都から小樽に移住した女性は「初めて見た」と話し、一緒に来場した女性は、「リムさんの質問も上手で良かった。分かりやすかった」と楽しんでいた。

 

 2月29日(木)〜3月3日(日)、市立小樽美術館(色内1)1階市民ギャラリーで、暗黒舞踏ポスター展を開催。関連事業として舞踏パフォーマンスを予定している。

 

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