小樽ゆかりの美術家27名が会す 小樽美術協会展

 市立小樽美術館(色内1)1階多目的・市民ギャラリーで、小樽美術協会(野田恭吾事務局長)第57回作品展が6月10日(水)~15日(日)で行われている。

 

 40~80歳代の小樽市展委員や道内外の公募展の会員会友・出品者・グループ展リーダー・個展発表作家など会員32名のうち、27名の10号~130号の油彩・水彩・版画・インスタレーションなど41点を展示。当番の画家が在廊し質問等に対応している。

 

 同会は、1969(昭和44)年に小樽在住またはゆかりの美術家たちが集まり創立され、同年8月に小樽市産業会館で創立展を開催した。

 

 コロナ禍の2020(令和2)年のみ中止とし総会が行われ、2021(令和3)年は6月開催を12月に変更。今日まで先人達の意思と決意を胸に活動を続けている。会員の高齢化が進む中、創立会員は加藤光彦氏だけとなる。

 

 事務局長6年目の野田さんは入会して35年。最近は石をテーマに、「石垣の風景1(油彩F100)」と「石垣の風景2(油彩F50)」を出展。石垣の隙間に興味があり、組んだ感じを抽象的に油彩で表現したという。

 

 会場正面には、一番大きな作品・島常雄さんの「出現“静”未完(F130号)」が、来場者にインパクトを与えている。

 福原幸喜さんは、天狗山山頂から見た風景を拡大気味にした「小樽港~虚構~(油彩F50)」、「小樽港~空想~(油彩F50)」を発表。今年4月から2ヶ月間かかって描き上げ、「普通に描いても面白くないので、見ている人を引き込むため、町中にいろいろな人物や物を登場させ、見ている人を引き込むための仕掛けとした。

 

 小樽を舞台にした映画・ドラマ・漫画のキャラクターを登場させ、ウルトラセブンに出演していた毒蝮三太夫が演じた隊員は北海道出身の設定から、小樽港上空にパトロール中の飛行機を描き、映画のシン・ウルトラマンの足や変身アイテムのベータ―カプセルを持つウルトラマンの手も作品の中に描いた」と説明。

 

 高橋晟さんは、秋の宮島に旅をした時、早朝に船に乗り海側から見た、霧の中から輝く朝陽の幻想的な景色を描いた作品「朝霧の社(F30号)」や、鎌倉の寺の庭の沢山の紫陽花が咲く様子を描いた「あじさいの寺(F30号)」を出展した。

 それぞれが同展のために仕上げた新作や気に入った作品を出展し、見応えのある作品展となっている。昨年は732名が来場し、開催を心待ちにしているファンも多い。

 

 野田事務局長は、「今回は普通の展覧会ではあるが、皆さん年齢が上がってきていても、自分を節制して頑張って描いている人が増えている。各個人の絵にかける情熱を汲み取ってもらえるとありがたい。若い方や関心のある方に、ぜひ見に来てもらいたい」と来場を呼びかけた。

 

 第57回小樽美術協会展 6月10日(火)~6月15日(日)10:00~17:00(最終日16:00)

 市立小樽美術館(色内1)1階多目的・市民ギャラリー 入場無料

 

 ◎アーティストバンク〜小樽美術協会(外部)

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