第10回THEY展 個性派作家11名集結

 小樽在住の作家が集まるTHEY展が、6月18日(水)から市立小樽美術館(色内1)1階多目的・市民ギャラリーで始まった。10回目となる同展は、個性派11名の作家の水彩・油彩・色鉛筆・インスタレーションなど69点を一堂に展示し、待ちわびたファンを楽しませた。

 参加アーティストは、上嶋秀俊氏・小川豊氏・加藤祐子氏・かつやかおり氏・小林嵩史氏・Saru1氏・菅原おりえ氏・鈴木比奈子氏・三宅悟氏・山内太陽氏・高橋一文氏の11名。

 

 会のとりまとめ役の三宅氏は、優しい色使いが特徴で心温まる自身の作品「広場」について、「イメージは運河公園で、人を沢山描きたくなって公園をテーマに楽しい絵を描きたいと思った。若い人も作品展に参加し、我々も刺激を受けている。この機会に多くの人に会場で見てもらいたい」と、来場を呼びかけた。

 

 「心のひだ」シリーズで知られる小川氏は、2年前に制作した未発表作品1点と新作6点を発表。ピンクや黄色などいつもより明るめの印象について、「札幌に住み環境も変わったこともあり、花をモチーフに表面は明るく見えるが、内面は人間にも言えることで、複雑でいろいろな心境があることを表現した。目が悪くなって以前描いていた細かい物が描けなくなり、新しいスタイルを模索していて、自分のスタイルが確立できれば」と話した。

 札幌から移住し初参加の山内太陽氏は、「魚シリーズと抽象画“Mirage”を出品し、北海道の特色ある絵を描く機会があり、鮭や熊を描いていたが、普段食べていて小樽らしい魚にしようと、小樽のイメージが強いホッケ・ニシン・サバ・ソイをリアルに描いてみた。

 

 日常生活をテーマにした170×270の巨大な抽象画は、絵具がとけたり絵具が模様になったり、それらを組み合わせ素材の良さを出せればと制作。色を混ぜて塗り、離れたところから何度も作品を見直して描いた。F40の2点は色を変えて、実験的に学習しながらパターンを変えて作品作りをした。

 THEY展に参加してみると、作品に対して真摯に取り込まれている方も多く、作家さんとの交流が持て、小樽で暮らす広がりもできた」と満足していた。

 

 人物画が得意な菅原おりえ氏は、「親戚の子や甥っ子、近くに住む子どもの人物をモチーフに“名残惜しい今日”、“留守番”など4点を出品。水に溶ける水彩色鉛筆や鉛筆などを使用。現在のお気に入りは、まっくろな鉛筆で描くのが気に入っている」と話した。

 鈴木比奈子氏は、夫をモデルに新作「聲のかたち」と「宇宙の途中」2点を出品。「20年以上アクリルで試行錯誤して描いていたが、昨年アクリルじゃなくても良いのかとひらめき、細い線を書く時に色鉛筆だと描きやすいことが分かった。使用した色鉛筆は小学生の頃使っていたもので、軽さが出て同じモチーフでも色鉛筆は表現できると、更に良い点が見つかった。

 

 板に紙を貼る作業の水張りも初挑戦した。この2点はどちらも淡い作品で、色鉛筆は自分の心情に近く、淡さの魅力もある。音も人間も形がないもので、どちらも見えないけど存在し、淡さと音の模様も表現した」と説明した。

 会場には、当番作家など数名が在廊していることもあり、タイミングが良ければ作品について話を聞くこともでき、21日(土)14:00から同館中庭で、LIVE EVENTを開催する。出演はザ★ホリデーズ、Vanko。

 

 THEY展 6月18日(水)~22日(日)10:00~17:00(最終日16:00)

 市立小樽美術館(色内1)1階多目的・市民ギャラリー 入場無料

 

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