小樽市総合博物館(手宮1・石川直章館長)に展示されている鉄道記念物の蒸気機関車「しづか号」と「大勝号」の生誕を祝う会が、6月28日(土)16:00から、NPO法人北海道鉄道文化保存会(清水道代理事長)と同館共催で開かれ、迫俊哉市長をはじめ約50名が出席してセレモニーが行われた。
1880(明治13)年北海道初の鉄道が開業し、アメリカから義経号と弁慶号が輸入され、石炭輸送の本格化に伴い機関車を増やしたため、これらの車両と同じ形式で、1884(明治17)年アメリカのポーター社で造られた蒸気機関車・しづか号(7100形)は、1985(明治18)年5月に小樽市手宮に陸揚された。
火の粉止めの煙突・カウキャッチャー・鐘などが特徴で、大正時代まで任務を果たし、1952(昭和27)年に国鉄へ寄贈。幌内鉄道時代の姿に復元され同館本館で展示され、訪れる人々の目を楽しませている。
大勝号(7150形)は、1895(明治28)年に手宮にあった北海道炭礦鉄道手宮工場で造られた国産2番目の蒸気機関車。現存する最古の国産蒸気機関車で、7100形とそっくりではあるが、煙室やドーム・運転室の形、小回りが利くよう車輪に脱線防止の弁がついていないなど、しづか号との違いがある。
国有化後は7150形となり、その後北海道炭礦汽船に譲渡され、戦後まで夕張地区で活躍していた。1954(昭和29)年に廃車後は、国鉄に寄贈され苗穂工場で復元された。
大勝号が収められているレンガ造の機関車庫3号(1885年)も、現存する日本最古で、長いサイズと短いサイズのレンガを組み合わせて並べた、装飾性の高い技法を使ったフランス積み。
清水理事長は、「同保存会は、日本遺産・北海道遺産の構成文化財である、小樽の鉄道遺産の保存とその活用に取り組んできた。これらは小樽の大切な産業遺産を、次の世代の人々に受け継いでいただきたく祝う会を開催した。限られた時間ではあるが、歴史の一端をお楽しみください」と挨拶。
JR北海道小樽地区駅・五十嵐直人駅長と佐藤仁君と伊藤楓さんでくす玉割を、その後、同館解説ボランティアのしづか号と大勝号の解説が、展示されている車両の前で行われ、130~140年前の貴重な車両について知識を深めた。
しづかホールでは、小樽管弦楽団とトリオ・マモーレによるミニコンサートも開催され、管弦楽器の調べに乗せ、かつて活躍した蒸気機関車に思いを馳せていた。
◎「しづか号」生誕140年・「大勝号」生誕130年を祝う会(外部)
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