公益財団法人似鳥文化財団(色内・似鳥昭雄代表理事)の小樽芸術村5つ目となる浮世絵美術館(港町5)が完成。同美術館となる浅草橋小樽運河倉庫ビルは、小樽で創業した鋼材・建材卸の清水鋼機株式会社本社社屋として、1997(平成9)年に建設された。
7月24日(木)に開幕を祝う小樽潮太鼓保存会の打演が行われる中、似鳥代表理事をはじめ、鈴木直道北海道知事・迫俊哉小樽市長・秋元克広札幌市長・考古学者の吉村作治氏らが出席し、オープニングセレモニーが開催された。
似鳥代表理事は、「2016(平成28)年に小樽芸術村1号館が開館し、2号館・3号館・4号館と開館し、今回は5号館。昨年は20万人が入館した。今後は10号館・30万人を目指したい。多めに言うのが私の主義。集め始めたのは10年ほど前で現在1,600点あり、展示はそのうちの100点で、年間いくつかに分けて展示し、作品を2、3ヶ月毎に入れ替えて楽しんでもらいたい。北海道は観光と農業・漁業が盛んなところ。ぜひ観光と農業に少しでも貢献できれば」と挨拶。
迫市長は、「市内の新しい観光拠点が誕生した。運河沿いの立地の良い場所で、地元の皆さんをはじめ、多くの観光客にお越しいただきたい。特に葛飾北斎・富獄三十六景は教科書にも載っていて、生徒の皆さんにとっても教育・学習の面から、ぜひお越しいただきたい。教育旅行・修学旅行の引致に弾みがつくものと期待する。インバウンドの中でも、特に日本の文化・風俗に高い関心を示している欧米の方々に、クルーズ客船停泊の第3号ふ頭から足を運んでもらい、クルーズ客船誘致の新しいPRポイントにも繋がる。小樽の歴史・芸術村の価値ある展示の強みを生かして、観光地の誘致にも努めたい」と期待した。
報道陣による囲み取材が行われ、「江戸時代の学生の頃からほしいと思っていた。将来、美術館ができたらと思っていた。現代にない江戸時代の着物・しぐさ、2〜300年前を想像しながら入っていく。当時をそのまま絵にした浮世絵に感動した。ようやく念願が叶った。非常に価値の高いもの。日本では手に入らない」と同館について答えた。
またオタモイ再開発については、「遊歩道だけでも作ってほしい。鮭を遡る川を作ったらどうかと提案している。何かを作って人を呼ぶチャンスがあると思う」と回答し、2~3年中に小樽で6号館をできればと、開館の計画にも触れた。
1階入口横には小樽観光案内所があり、1階の常設展示では、江戸の本屋さん「絵草子屋」を再現展示。浮世絵版画の絵師・摺師・彫師の分業によって制作され、その職人たちが使用した道具や摺りの工程が分かりやすく解説されている。
葛飾北斎の「富獄三十六景 神奈川沖浪裏」の摺りに挑戦できる、スタンプ摺り体験コーナーを設け、5つのスタンプを重ねて押すと完成する。
1階で高精細レプリカによる代表作を紹介しているのに対して、2階では実物を展示。同村収蔵の喜多川歌麿・東洲斎写楽・葛飾北斎・歌川広重・歌川国芳など江戸の浮世絵や、川瀬巴水による新版画などを毎回テーマを変えて展示する。
開館記念展コレクション撰1は、7月24日(木)~8月24日(日)、江戸後期に活躍した葛飾北斎と歌川広重の作品を中心に、富獄三十六景・神奈川沖浪裏など良く知られた名所絵や貴重な肉筆美人画など、芸術村を代表する作品を展示している。
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