小樽美術館で北の書みらい賞奨励賞記念書道展

 日本を代表する書家・中野北溟氏の功績を記念し創設された北の書みらい賞2024年の第4回奨励賞に、小樽在住の書家・池田憲亮氏作品「徳望」が受賞。

 受賞作は文字を表情を持った絵のように書いた作品で、2023(令和5)年に北玄12人展で発表。選考委員会の目に留まり推薦され、そこから更に厳しい審査を受け、2024(令和6)年第4回同賞奨励賞の受賞となった。

 

 9月4日(木)~7日(日)の市立小樽美術館(色内1)1階市民ギャラリーで、受賞作品などを展示した書道展「池田憲亮と臥牛社U30」が開催されている。

 

 同みらい賞とは、中野氏の功績を記念し、50歳以下の北海道在住書家の育成と支援を目的に、2019(平成31)年に創設された賞で、札幌芸術の森美術館・佐藤幸宏選考委員長をはじめ、現代美術家の阿部典英氏らが選考委員となり、2021(令和3)年に第1回目を開き、毎年大賞1名・奨励賞3名を選出。

 

 会場には、受賞作品ともに、この機会に市民にも鑑賞してもらいたいと、今年の北の書みらい賞受賞者展に出展した3点と他の作品とを合わせた8点を展示。

 

 池田氏が開く書道教室臥牛社に通う30歳以下の全国規模で活動している生徒6人の30点、学生や子どもなどの作品も展示されている。

 

 池田氏は1984(昭和59)年小樽市に生れ、2011()年大東文化大学大学院文学研究科書道学専攻博士課程前期課程修了。毎日書道展会員・創玄書道会二科審査会員・博光書道会常務理事・小樽文化祭書道市展委員・書遊会会員。高校生の頃から、書道界の重鎮で同氏にあこがれを抱き、この受賞の喜びは計り知れない。ダイナミックな書風はどこか似ていて、絵と同じように白と黒の空間を大切にして書いているという。

 

 中野氏は、1923(大正12)年北海道苫前郡焼尻村に生まれ、現在102歳。小樽市立緑小学校を卒業し、現在同校跡地の駐車場入口には、同氏が書いた石碑がある。北海道教育大学旭川校を卒業後は、各地で教員を務めながら書道活動も行い、審査会員としても活躍する。

 

 羽幌町中央公民館の書の北溟記念室に続き、2025(令和7)年4月には札幌市教育文化会館に中野北溟記念室が開設され、2カ所めの常設展示施設となった。知る人ぞ知る小樽水天宮の境内にも一原氏がデザインした碑に、中野氏の詩が自身の文字で書かれているなど、小樽とは縁が深い。

 

 9月14日(日)・20日(土)・21日(日)に旧北海製罐第3倉庫前広場で行われるおたる運河灯篭で、同氏が書いた文字の「運河灯篭」が、3日間で600個流される。

 

 池田氏は、「札幌での出展作品を小樽の皆さんにも見てもらいたいと移動展にし、若い人たちの発表の場にと開催した。書道作品は、文字を読まなければならないと思いがちだが、白と黒の空間の絵を見るような感覚で鑑賞してもらえればと思う」と、来場を呼びかけた。

 

 池田憲亮と臥牛社U30 9月4日(水)~7日(日)10:00~17:00(最終日16:00)

 市立小樽美術館(色内1) 入場無料

 

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