小樽市総合博物館(手宮1・石川直章館長)では、2023(令和5)年にPCBなどの除去のため車両を解体し、手宮ホームに仮置された電気機関車ED75形501号の再整備・展示に向け、12月9日(火)8:00から同構内の中央ホームに移設作業を実施した。

日本国有鉄道(国鉄)が1963(昭和38)年に開発した302両のうち、1966(昭和41)年に製造され、小樽から滝川間の北海道交流用電気機関車として1両のみ作られた試作車両で、電気機関車ED76形509号と共に1986(昭和61)年に廃車となり、同年に当時の北海道鉄道記念館に搬入。小樽交通記念館を経て同館で引継ぎ展示されていた。
両車両から高濃度PCB含有の変圧器とコンデンサが多数確認され、一昨年の10月に車体を解体し取り出して処理。北海道の国鉄電化に貢献した貴重な鉄道遺産として、保存に向けた応援プロジェクトを実施した。
電気機関車ED76形509号は前頭部の運転席部分を保存し、2024(令和6)年11月に同館内のイベントプラザで展示されている。

できるだけ復元しようと車両を残した電気機関車ED75形501号は、手宮ホームに仮置しロープで立入禁止にしていたが、来館者の通行の妨げにならないためにも展示予定の中央ホームに移動を行った。
未明から降り続いた雪が積もる中、前頭部(5.5t)・後頭部(5.5t)と内部機器と台車を取り除いた中間部(10t)のうち、中間部を先にクレーンで吊り上げて特殊トレーラーに載せ、200m離れた中央ホームまで移動し吊り上げて線路上に下ろした。
移設作業は車両保存整備の一環として行われ、今後は寄附を募り、展示に向けての整備を続けていく。

佐藤卓司学芸員は、「良い形で残したいので、ぜひ寄附の協力をお願いしたい。今回の移動で、元の展示状態に近づいた」と今後の整備に期待を寄せた。
同車両の保存整備に関しては、小樽ファンが支えるふるさとまちづくり、インターネットサイト、郵便振り込みから寄附を募っている。



