市立小樽美術館(色内1)3階一原有徳記念ホールで、「阿部典英 挿絵原画展 物語る色と線 」と、「美術評論家 酒井忠康のあゆみ」が、3月7日(土)から始まった。
北海道を代表する現代美術家の阿部氏は小樽在住で、 彫刻や立体など大きな作品も数多く発表し、見る人にインパクトを与えているが、今回は、 同氏が長年描き続けてきた、新聞や本の挿絵や俳句雑誌 道、 さっぽろ市民文芸など刊行物の表紙の原画など書籍も含めて190 点を展示している。

挿絵などを中心に発表した展示会は、これまでにはなく初公開で、 同氏の知られざる作品を鑑賞できる貴重な企画展となっている。
今から26年前の2000(平成12)年3月12日から北海道新聞の連載小説「金融破地獄」(作:杉田聖)の挿絵も最終回まで30点を展示し、 掲載した新聞も見る事ができる。
同氏は、「 絵具が無くても自然の中にある材料でコラージュできる。 表現は難しくなくて、世界に1つしかない作品が生まれる。 楽しんで見て欲しい」と、話した。

子ども向けに開催したワークショップでの作品も展示され、 足形や手形を上手く使い海老を表現したり、 森の中で拾い集めた落葉で虫やカニ、魚、トンボや、 切り抜いた部分に裏側からチラシを貼り付けた作品など、 身近な素材を活用して作品のアイディアが生まれ、様々な素材を用いたコラージュ作品は、同氏の世界観で溢れている。
同氏出版の書籍も展示し手に取って読む事もでき、ずらし技法など 様々な技法について紹介している。
同時開催中の美術評論家・酒井忠康のあゆみでは、2025( 令和7)年10月に北海道文化賞受賞を記念して開催され、 小樽と縁が深く、一原有徳氏とは、2024(令和6)年10月の特別展で「 評論家と版画家の交流 酒井忠康への手紙」で紹介した通り、 酒井氏の叔父と一原氏が貯金局の同僚だった縁で、 一原氏とは長年文通するほど親しい関係だった。

同氏は、日本を代表する彫刻を専門とする美術評論家で、 北海道のみならず国内外で活躍する評論家だと言う事を知ってもらい 、これまでの歩みを知る書籍や、左眼子の号で発表した書画、受賞関連資料、 北海道新聞掲載「私のなかの歴史」(全15回)も展示している。
酒井氏は余市町の写真館の長男として生まれ、余市高校から慶応義塾大学へ進学。開国に纏わる絵師達をテーマに評論を書いていたが、ある日、 彫刻家との出会いをきっかけに彫刻の世界に入る。1964(昭和39)年に 鎌倉の神奈川県立近代美術館の学芸員として勤務し、1992(平成4)年に館長となり、国内外の様々な展覧会を運営し、現代美術の研究や評論活動を展開した。日々の雑観を「小さな箱」(2001年)に綴った。2004(平成16)年から2024(令和6)年まで 世田谷美術館の館長を務めた。

会場で展示した書籍類は、余市在住の同氏の弟・酒井近義さんが所蔵し、 今回の企画展に合わせて選び、初日は会場に訪れていた。
阿部典英挿絵原画展 酒井忠康のあゆみ
3月7日(土)~6月14日(日)9:30~17:00
市立小樽美術館(色内1)3階一原有徳記念ホール
定休日:月曜日(5月4日除く)3月24日・4月30・5月7・8・12・13
要観覧料
◎関連記事
◎関連記事



