5月としては2日連続で夏日となった小樽では、5月16日(金)13:13に25.1℃を観測。朝里海岸で観測を続けていた柴田進さんが、16:00少し前から高島岬や祝津の家々が伸びたり、面白い変化を見せる上位蜃気楼「高島おばけ」の観測に成功した。(写真提供:柴田進さん)
柴田さんは、「この日の石狩湾の海水温は約11.5℃。小樽の最高気温が25.1℃と手稲山口で27.9℃まで上昇。午前中より気温が上がり、手稲山口側では風も弱かったので、こちらを注目していて、気温や風等のデータ分析で発生の可能性が高くなったので、現地へ向かった。
朝里海岸に到着してすぐ確認したところ、石狩湾新港のタンク群がすごく縮んでいた。この状態は風向きが変われば、いつか大きく変化する前兆なので、しばらく観察していたが残念ながら、ほとんど変化はなかった。
一方、小樽の手宮・高島側は、午前中から気温は上がったが、風がやや強く高島おばけ(=上位蜃気楼)が発生する条件ではなかった。顔にあたる風も冷たく、セーター等を着こむほど。ただ、15時過ぎた頃から風が弱まり、ある時ぴたっと止まり、暖かさを感じるようになった。
その頃から、高島岬の先端にある岩礁が伸び上がってきたのが確認できた。この後は、祝津の街や祝津漁港、おたる水族館下の家々がおもしろいように伸び上がったり、反転像を作った。(特に変化が大きかった時間帯は15時55分〜16時25分頃まで)
高島岬麓の海岸にある岩場が伸び上がっています。岬の先の岩礁が反転層を伴って伸び上がると同時に幻の水平線が2つ見える。
高島岬と岩礁が一体化し、その先の海上には小型船舶が現われる。一番下が実像でその上に何段も重なったような虚像の姿が見える。
高い位置に反転層ができ、海側には幻の水平線がしっかり見える。この位置まで伸び上がったり、反転した像が現われるのだからおもしろい。
祝津漁港の背後に見える家々の建屋が伸び上がっている。青い三角屋根が完全に分離して反転しているのがわかる。実におもしろい。下段の通常の見え方(=実景)と比較するとわかりやすい。
ほぼ上記と同じような位置で、しばらく時間が経つとまた違った姿を見せる。全体がまるでビル群のような印象だ。右端に見える赤い三角屋根の家がまたおもしろい。三角屋根の上に逆三角形とさらにその上に三角形の形が見える。これは上位蜃気楼が反転像を伴う場合、下から正立像→反転像→正立像の順に積み重なる仕組みになっているからだ。
ちなみに、朝里海岸から高島岬・祝津までの距離は約8Km。比較的近距離で対象物が大きく変化する姿が見られるのは稀でとても幸運だった。
これから6〜7月にかけても石狩湾では高島おばけ(=上位蜃気楼シーズン)となるが、それを見たい方は、双眼鏡があると便利。また、前述したように海の近くで見る場合は寒さ対策、そして日焼け対策、熱中症対策がこれからは特に必要」と説明していた。
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