日本財団海と日本プロジェクトは、全国から25件を、一般社団法人日本昔ばなし協会主催の2025(令和7)年度海ノ民話のまちプロジェクトに選び、オタモイ地蔵が北海道でただ1件選ばれた。
海と深く関わりを持つ日本が、海とのつながりと地域の誇りを子どもたちに伝え、未来につなぐことを目的に日本各地の無形文化財である海の民話の中から、価値の高い話を選出して子どもたちに語り継ぐ海ノ民話アニメーションを制作。
それらの海の民話を語り継がれてきた地域を「海ノ民話のまち」と認定しPRや活用促進を図るもので、2018(平成30)年にスタートし、2024(令和6)年までに92本の海ノ民話アニメーションを制作。今年度は25本の制作を予定し、これを合わせると100本を超える。
選考基準は、人の豊かな海の学びや海の多様性や好奇心を喚起し、地域で大切に語りつがれてきた民話で、海の風とや特色が表現され、地域の子どもたちに語り継ぐ機運があり、アニメ化にあたり魅力的な物語であることが求められる。
オタモイ地蔵尊について調査研究し、それを元に講演会を開催しているオタモイ地蔵尊奉賛会(村上テル子代表)の高野宏康事務局長は、今回のアニメ化について、「オタモイ地蔵は、江戸時代から現在まで篤く信仰されており、様々な伝説が語り継がれてきたが、近年、急速に忘れられつつある。オタモイ地蔵堂周辺は土砂災害警戒区域となっていて、参拝が困難な状態にあり、2022(令和4)年に堂守の村上洋一さんが亡くなり、今後の維持管理も課題となっている。
北前船で小樽にやって来た人の遭難犠牲者供養として建立され、明治中期以降は“子宝地蔵”として道内外から多数の参拝者が訪れるようになった、小樽の最も重要な“聖地”の一つ。今回のアニメ化は、あらためてオタモイ地蔵の再発見につながる、とても良い機会だと思う」と述べた。
また、アニメ化の効果や影響については、「アニメは、子どもや外国人なども含めとても大きな影響力のあるメディアで、オタモイ地蔵のエッセンスを幅広く伝えることができると思われる。小樽の歴史を理解する上で、歴史的建造物などの文化財だけでなく、伝説・民話の大切さを再発見する機会にもなると思う」とコメントした。
2025(令和7)年度オタモイ地蔵尊例大祭を、6月21日(土)13:00~14:00オタモイ海岸駐車場で開催。塩谷サービスセンター集会室(塩谷1)に会場を移し、14:30~16:30にオタモイ地蔵尊についての講演会と情報交換会を開催する。小樽商科大学非常勤講師の松田義章氏は「オタモイ海岸とその周辺の地質」について、小樽商科大学客員研究員の高野宏康氏は、「オタモイ地蔵の現状と課題」について語る。