北海道財務局小樽出張所(港町5・清水雅之所長)は、6月4日(水)10:00から、しりべし経済レポートVol.115(令和7年1月〜3月期)について記者発表を行い、管内経済は持ち直していると総括判断し、9期連続据え置いた。
項目別では、個人消費は持ち直しつつある。主要小売店売上高は、物価高による節約志向から厳選購入する動きが見受けられるが、インバウンド消費は好調で、前年を上回った。
新車登録・届出台数は前年の認証不正問題により、限られた車種のみの販売であったことから反動増で前年を上回った。
観光は回復しつつある。中国人向けビザ要件の緩和や、前年同期に新千歳空港の国際線が増便した影響から中国人観光客が増加。複数のスノーリゾートでパウダースノーを堪能することを目的として、長期滞在の欧米豪の海外スキー客が多かった。
住宅建設は緩やかに持ち直しつつある。新設住宅着工戸数は、給与住宅と分譲住宅で前年を下回っているものの、持家・貸家が前年を上回っていることから、全体でも前年を上回った。需要はあるが高騰する建築費と地価により、戸建を購入できる層が限られてきていると建設会社からの生の声があった。
公共工事は、公共工事前払金保証請負金額で見ると、年度累計で前年を上回っているが、四半期合計(令和7年1〜3月)は下回っている。
生産は持ち直しつつある。生コン出荷状況は官需が前年を上回っているものの、民需が下回り全体では下回っている。水産加工稼働状況は、昨年から続くコロナ5類以降の観光客の増加で土産需要がある一方で、昨年豊漁であったニシンの不漁による原材料不足等から低調となり、金属加工は好調。機械生産は低調。プラスチック製品は安定した操業。ゴム製品は低調。
雇用は緩やかに持ち直している。有効求人倍率は、前年を0.05ポイント上回ったが、有効求職者は前年比マイナス7.3ポイント。有効求人数は前年比マイナス3.7ポイント、新規求職者数はマイナス7.2ポイントと前年を下回る。
民間求人媒体の活用や外国人労働者の受け入れなどから労働者を確保している企業が多いことから、有効求人数が減少した理由とみられる。
このほか参考として、貸出金残高は前年を下回り、企業倒産件数と負債総額ともに前年を下回った。
特別調査として、後志管内の住宅動向について、新築住宅着工戸数は前年度を上回り、特に倶知安町及びニセコ町の新設住宅着工戸数が増加していることを踏まえ、倶知安町とニセコ町の住宅動向を調査した。
2024(令和6)年度の北海道の新築住宅着工戸数30,187戸で、前年度比+6.2%と上回った要因は、持家及び貸家が増加したためで、後志地域の新設住宅着工戸数は870戸、前年度比+31.0%と大きな伸びが見られた。倶知安町281戸とニセコ町222戸の新設住宅着工戸数は後志の過半数以上を占める。
観光需要の高まりによる人口増加の影響から、町内勤務の共働きや子育て世帯及び、国際結婚世帯が多く、学校施設の充実及び公共交通の利便性の高さから一戸建ての需要がある。
住宅動向は、拡大する観光や北海道新幹線工事、それに伴う企業の雇用確保の動きなどの経済的要因と密接していると改めて認識し、しりべし経済レポートの調査項目の住宅建設にも注視し、後志地域の住宅動向の把握に努めるとまとめた。
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