小樽美術館中村善策ホールで高木陽春の写真展 

 市立小樽美術館(色内1)1階中村善策記念ホールでは、新たな発見や共感を楽しむ写真展との初共演、企画展「高木陽春写真展―みちノヒカリ」を7月19(土)からスタートした。

 大阪出身で、現在東京で活躍中のフォトグラファー・高木陽春氏は、18歳の頃、写真学校に通う先輩と自作した暗室で、自分が撮影した写真が浮かび上がる現象に感動し、この道に進んだ。2007(平成19)年大学卒業後に岡田久仁子氏に師事。2014(平成26)年から2022(令和4)年までは立木義浩氏に師事し独立。

 

 2023(令和5)年の夏に、雑誌の撮影をきっかけに小樽に初めて訪れ、2024(令和6)年10月20日から開催の企画展「絵画で見る炭鉄港三人展」で、投影した内野一郎氏がプロデュースした「小樽聖」の写真を撮影。

 

 2024(令和6)年と2025(令和7)年の夏・冬・春にも訪れ、観光地ではない小樽を広範囲に歩き、植物・夕日・山・海・人・水・岩など、今に生きる小樽の一瞬を撮影。大小合わせて25点を会場に展示している。

 

 中村氏の作品は、同氏の写真になかった秋を描いた風景「塩谷のポンメ岬」・「白い磯浜」・「秋の原始林の沼」と、比較できる「夏の原始林と沼」を展示。印象的で魅力あふれる色彩とごつごつとした表現は、同氏の写真からも共通点を見出すことができる。

 

 入口すぐのガラスケースには、小樽の日常を切り取った50枚ほどのスナップ写真のインスタレーションが楽しめ、額装していないA2サイズにプリントされた写真が無造作に置かれ、写真をめくりながら小樽を楽しめる。

 高木氏は、「写真を楽しんでほしくて、もちろん目でもそうだが、目じゃないところも使って楽しんでもらいたい思いが強くある。プリントしたままの写真も会場に置いてあり、めくる動作が個人的には好きで、スマホよりも紙から写真を楽しんでもらいたい。小樽の夏・冬・春の3年間で撮影した写真をご覧いただきたい」と来場を呼びかけた。

 

 星田七重学芸員は、「私たちが生きている小樽と歴史的小樽と、絵画としても評価された絵とコラボさせることにより、思いがけない出会いにより効果が生まれる空間を作りたいと発想。展覧会会場をひとつの空間として作品化することを意識して、それぞれの場所で必要不可欠な作品を適切な大きさにして配置し、展覧会を作る意識で写真展を組み立てた。入口横のガラスケースには、小さい額に入れて組み立て、ひとつのインスタレーションのボックにしたことで新鮮な感動が沸き、改めて善策の絵も見直し、再評価に繋げられればと思う」と期待した。

 

 高木陽春写真展―みちノひかり 小樽に生きる人と風土を見つめて

 7月19日(土)~10月12日(日)9:30~17:00(入館16:30)

 市立小樽美術館(色内1)1階中村善策記念ホール

 月曜(7/21・8/11・9・15を除く)・7/22・23・8/12・13・9/16・17・24休館

 

 ◎高木陽春写真展「みちノヒカリ」(外部)

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